ニキビは毛穴の病気です!ニキビ治療の基本編(保険治療)
- こんばんは、ニキビ治療、色々な情報があふれた現在、迷子になっている方はいらっしゃいませんか?
ニキビ治療薬で有名なマルホ株式会社様とも何度も講演会を開催し、何年もニキビ治療の啓発をしてきた皮膚科専門医の葉山愛弥です。
なぜ啓発活動?と思われるかもしれませんが、実は私が学生時代の頃はニキビの治療薬はありませんでした。
もしかするとご両親様に言われたことありませんか?
「さわるな、つぶすな、化粧するな、前髪あげとけ…」なんて。
私も大学生時代に皮膚科を受診したところ
「若いからしょうがない」といわれ、対症療法の抗生剤が出される程度でした。
ニキビの治療法の発展
現在のざ瘡(ニキビ)ガイドライン(皮膚科学会で決められている治療手順)を記載しております。
■尋常性ざ瘡・酒さ治療ガイドライン2023、一部抜粋 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023.pdf
■2008年以前までは『ニキビは青春のシンボル』であり生理的現象として軽視されててきた。医療機関受診率は10%と低かった。
■軽症症例でも瘢痕を残すことを示唆するデータが示され、QOLの低下、中高生のいじめの原因になりうることから、早期の積極的な加療と維持療法が求められている。
■2008年以降は内服あるいは外用の抗生剤中心だった治療が、アダパレンが導入されるようになり、微小面皰に対する治療を継続する維持療法が定着、さらに2014年に過酸化ベンゾイルの登場により薬剤耐性ざ瘡桿菌の増加を回避することが可能になった。
このように、2008年以来、ようやく日本にアダパレン(ディフェリン)という製剤がようやく承認され、過剰な角質を除去してニキビを予防することができるようになりました。さらに、2014年にようやく過酸化ベンゾイル(べピオ)がマルホ株式会社より作られ発売されるようになりました。
ニキビの原因
では、そもそもニキビがなぜ作られるかといいますと、成長期の10-20代に性ホルモンにより皮脂腺が活性化、皮脂が過剰になることが一つの要因です。30-40代でも勿論女性であれば妊娠・授乳・更年期によるホルモンバランスの乱れもありますし、男女ともに疲れやストレスでホルモンバランスが乱れることもあります。
また、ニキビを隠そうとコンシーラーや、乾燥からできているのではないかという間違った概念から油分の多い保湿をすること、擦ること、髭剃りなどでも角質が詰まってしまい、ニキビの原因や増悪になることがありまります。
ニキビの病態
毛孔に付着した皮脂腺から皮脂が分泌され、症状に現れていなくても毛穴が詰まっている状態が電子顕微鏡で確認されます。
皮脂がさらに毛穴が溜まってくるとコメド、面皰と呼ばれる白ニキビ、皮脂や角質が混在したものが酸化を起こすと黒くなり、黒ニキビとして余計目立つようになります。
これを放置すると、常在菌である主にアクネ菌が増殖し、増えたアクネ菌や皮脂に対しての異物反応として炎症が生じ、いわゆる赤ニキビ、黄ニキビといわれるニキビとなり、炎症が強ければ強いほど炎症後の紅斑(ニキビ)後の赤み、ざ瘡瘢痕(ひきつれによる瘢痕)というニキビ跡が残ることになります。
さらに残念なことには、炎症までおこさなくても、面皰そのものを放置するのみでざ瘡瘢痕が残るというリスクがあるということです。
ニキビの治療
現在はアダパレン、べピオ、その合剤であるエピデュオがあり、いずれも角質をケアし、ニキビができなくなるようにできている薬剤です。ニキビができているところのみではなく、ニキビができやすい部分の広範囲に3か月以上塗布することで新生を止めることができるようになりました。
ニキビ治療の副作用
いずれも刺激が出やすい点がデメリットであり、特に使用はじめから1か月頃に生じ、慣れてくることがほとんどです。
※過酸化ベンゾイルではアレルギー性の接触皮膚炎を起こすこともあるため、外用部位以外も赤身がでたり、腫れる、じくじくするような症状がある場合には中止して、御受診ください。
以上より、薬の効果は皮膚の代謝上、ニキビの新生を止めるためには3か月を有すこと、刺激の副作用を避けるために少量からの外用がうながされるため、出来ている部分にしか外用ができていないことも多く、合わないと決めつけて断念してしまう方も多く見受けられます。
そのため、現在では油分の少ないノンコメドジェニックの保湿剤の併用や、薬剤そのものの水分蒸発率が低いもの(べピオローション)、最近では短期接触療法と呼ばれる5-10分で流すもの(べピオウォッシュ)まで発売されるようになりました。
ニキビの赤みは半年程度かけて薄くなりますが、瘢痕が完全に消えることはありません。
ここで皮膚科専門医の私個人のつぶやき・・・
出来てしまったニキビはクリニックで綺麗に内容物を出してしまう面圧もできますし、抗生剤や漢方の内服・外用、袋のようになっている嚢腫状ざ瘡ではケナコルトの局所注射も効果的です。
ご自身で生活習慣等を見直していただくことも必要ですが、しいて言えば、1日2回の洗顔料を用いた洗顔、皮脂分泌を調整してくれるビタミンB2,6の内服、(ほとんどの方が難しいですが心身ともに)ストレスをためないような生活、科学的根拠や因果関係はありませんが、明らかにでる食材を多量摂取しないこと…。
まずは基本的的に保険治療をなるべく受けるべく、皮膚科医のいるクリニックへのご受診をおすすめいたします。
※また、どうしても難治な方の場合、イソトレチノインの内服を半年していただくこともあります。
1か月の避妊、乾燥感、肝障害、脂質異常に注意が必要ですが、基礎疾患のない若い方が内服する分にはあまり怖くない薬だと思いますので、併せてご相談ください。