マンジャロの危険性とは?医師が考える正しい使い方とリバウンド対策
こんにちは。
BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)の前田陽子です。
今日は、近年注目を集めているマンジャロ注射についてお話しします。
「注射するだけで簡単に痩せられる」といった情報も見かけますが、実際には使い方を誤ると危険性があるお薬です。
医師の立場から、リバウンドリスクや注意点を含め、マンジャロと安全に付き合うためのポイントを解説します。
マンジャロ注射とは?GLP-1とGIPのダブルアプローチ
マンジャロは、GLP-1受容体作動薬にGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)を組み合わせた新しい注射薬です。
週1回の投与で、血糖コントロールを改善し、食欲を自然に抑える効果が期待できます。
もともとは糖尿病治療薬として開発されましたが、体重減少作用が注目され、美容医療や肥満治療の領域でも使われるようになりました。
ただし、「注射さえすれば痩せる」といった安易な認識は危険です。
薬に頼りきるのではなく、生活習慣を見直すきっかけとして使うことが大切だと私は考えています。
マンジャロ注射は危険?リバウンドリスクに関する調査
とある研究では、マンジャロの継続使用と中止後の違いが明確に示されました。
783名を対象に9か月間マンジャロを投与した後、一方のグループには引き続きマンジャロを投与。もう一方のグループにはプラセボ(効果のない薬)を投与するという試験が行われました。
その結果…
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継続使用グループ:平均25.3%の体重減少を維持
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プラセボ切り替えグループ:平均+14%の体重増加(リバウンド)
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体重を維持できた人はわずか9.9%
つまり、10人中9人は薬をやめると体重が戻ってしまったのです。
これは「マンジャロが危険」というよりも、「薬だけに頼ることが危険」だということを示しています。
マンジャロ注射のダイエット効果だけに頼らず、正しい食習慣・運動習慣を身につけることが重要なのです。
GLP-1とアンチエイジングの関係
GLP-1は、血糖コントロールの改善だけでなく、アンチエイジング分野でも注目されています。
2023年の国際老化研究会(ARDD)では、「GLP-1はメトホルミンに続く次世代の長寿薬になり得る」と発表されました。
実際、糖尿病でなくても空腹時血糖が90以上、インスリンが4以上、HbA1cが5.3を超える方は、代謝がやや低下している状態です。そうした方にとって、GLP-1を適切に活用することは将来の健康維持につながる可能性があります。
ただし、これは医師の管理下で行うことが前提です。
美容目的での安易な使用や、SNS上の自己判断での継続は避けてください。
マンジャロ注射を行ううえで大切なこと
マンジャロ注射を希望される患者様に指導を行ううえで、私は以下のポイントを重視しています。
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十分なタンパク質・ミネラル・水分の摂取
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レジスタンストレーニング+有酸素運動の併用
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7時間前後の質の高い睡眠
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定期的な血液検査と医師のフォローアップ
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年に数回の短期的な使用サイクルで、体重維持をサポート
薬を使用するのはあくまで一時的。無理のない範囲で習慣を整え、“薬がなくても維持できる体”を作ることが最終的なゴールだと考えています。
まとめ:マンジャロは“魔法の痩せ薬”ではありません
マンジャロは、糖代謝を改善し、体重コントロールを助ける非常に優れたお薬です。
しかし、正しい知識と医師の管理があってこそ、安全で持続的な結果につながります。
「痩せる注射」に頼り切らず、まずは生活習慣を整えること。マンジャロ注射はあくまでサポートツールとして取り入れること。
それが、リバウンドを防ぎながら美しく健康的に過ごすための第一歩です。