みなさんこんにちは。BIANCAクリニック　美容内科指導医の前田陽子です。

今日は、最近のGLP-1を取り巻く情報のまとめのご紹介です。

 

 

GLP-1 療法の抗肥満効果は、現在ではとても有名になっていますが、太りすぎの人々の糖尿病の発症を防ぐのにも多大な効果があることも重要です。

肥満の合併症として糖尿病は、頻度も高く、重要性も高いですが、SCALE 研究という有名な研究では、週１回のGLP-1の注射とプラセボの比較（ランダム比較化試験）で、GLP-1を使ったグループは、プラセボ群と比較して、糖尿病の発生率が 80% 減少しました。

 

GLP-1は糖尿病の他にも、人間の研究で心血管合併症の軽減に有効であることも示されていますし、マウスの研究でも神経保護効果が示されています。

 

最近のSELECT 試験では、GLP-1により、重大な心血管イベントの発生率が 20% 減少、また死亡率の低下まで引き起こすことが実証されています。

 

またGLP-1作動薬は、糖質、脂質、炎症を正常化する効果があり、代謝の低下や炎症は認知機能低下の原因と考えられているため、

GLP-1は認知症の治療薬としても非常に注目を集めいています。

実際に、初期アルツハイマー病に対するセマグルチドの臨床試験も進んでおり、この薬が代謝に及ぼす影響は、神経変性疾患におけるセマグルチドの可能性も促進している可能性が高いと考えられています。

 

 

今後の、GLP-1を取り巻く新しいニュースとしては、GLP-1と他の治療薬の新しい組み合わせでは、現在 25% の体重減少が認められており、これは肥満手術にほぼ匹敵します。

（肥満手術では、通常、術後、肥満患者の平均余命が最大9年延長し、糖尿病患者の平均余命は5年延びます。）

こちらの新しいGLP-1薬も現在開発中で、数年後には販売される予定となっていますし、

また日本の中外製薬が創製した、新しい内服タイプのGLP-1は、現在発売されているリベルサスとは異なり、内服のタイミングが食事や水分摂取に制限されません。

こちらも新しい内服GLP-1薬として、非常に注目されています。

 

まだしばらくは、GLP-1薬から目が離せませんね。