メトホルミンとは?老化研究でも注目される理由
メトホルミンは、もともと2型糖尿病の治療薬。
最近では、老化の研究分野でも注目されていることをご存知でしょうか?
今回は、メトホルミンが老化研究で期待されている背景についてBIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)美容内科指導医・前田陽子医師が解説します。
メトホルミンとは?
メトホルミンとは、長い間2型糖尿病の治療で使われてきた、飲み薬タイプの「ビグアナイド系薬剤」です。
時を遡ること17世紀。
フレンチライラック(↑この紫のお花です)の根に、糖尿病の症状を和らげる効果があることが発見され、そこから研究が進み、メトホルミンの開発につながりました。
1990年代には2型糖尿病の治療薬として正式に承認され、今でも世界中で幅広く使われています。
老化予防にメトホルミン?TAME試験とは
「TAME試験(Targeting Aging with Metformin)」は、3000人以上を対象に行われた大規模な老化治療の臨床試験です。
この試験により「メトホルミンは老化の進行に関わる生物学的経路に作用し、加齢に伴う疾患の発症を遅らせる可能性がある」という見解が強まりました。
メトホルミンが関わるとされる4つの生物学的経路
メトホルミンは糖代謝だけでなく、老化に関わるさまざまな体内の仕組みにも影響を与える可能性があると考えられています。
なかでも注目されているのが、次の4つのメカニズムです。
1.AMPKの活性化
エネルギー代謝のバランスを保つ「AMPK」という酵素を、メトホルミンが間接的に刺激するといわれています。
その結果、脂肪合成の抑制や、代謝の改善が期待されています。
2.FOXO転写因子への作用
メトホルミンは、酸化ストレスから細胞を守る「FOXOタンパク質」にも作用するとされ、マウス実験では肝臓での糖の産生を抑える可能性が示唆されました。
3.テロメアの短縮を防ぐ可能性
細胞の寿命に関わる「テロメア」が短くなるペースをメトホルミンが遅らせるのではないかという研究報告も。
「SIRT1」や「RAG1」といった経路を通じて、細胞の老化をゆるやかにする可能性が注目されています。
4.DNA修復を助けるTET2のサポート
遺伝子の修復やゲノムの安定に関わる「TET2」という酵素の働きをサポートすることで、細胞の健康維持にも関与しているのではないかと考えられています。
メトホルミンの可能性と注意点
こうした背景から、メトホルミンは老化予防の有望な選択肢の一つとして、さまざまな研究がされ続けています。
Geroprotectors.orgなどのデータベースでも老化に関する研究で注目される薬剤の1つとして位置づけられており、研究の進展が期待されています。
ただし、長寿医療を目的とした最適な投与量や使用法はまだ確立されていません。
メトホルミンは老化研究でも注目される存在
メトホルミンは糖尿病治療薬として知られていますが、近年では老化やアンチエイジングとの関連でも注目されています。
老化に関する研究は今も世界中で進んでおり、美容医療の可能性も日々広がっているのです。
ビアンカクリニック美容内科外来では、国内外の先進の研究結果やエビデンスをもとに、一人ひとりの体質や目的に合わせた医療をご提案しています。
「いつまでも健やかに美しくありたい!」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
カウンセリングでお待ちしています。
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