脂肪注入で知っておきたい専門知識【Part2】
こんにちは!
美容外科医・美容皮膚科医の横山歩依里です。
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脂肪注入は「自分の脂肪を利用する安心感」「長期的な効果」が魅力です。
前回は基本的な話をしたので、今回は少し専門的な視点から、脂肪の加工法や定着率の工夫についてご紹介します。
・・・前回の記事はこちらから読めます→ https://biancaclinic.jp/blog/44629/
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1. 脂肪加工法、種類について
脂肪注入は、採取した脂肪をそのまま入れるわけではなく、用途に合わせて加工してから注入します。
加工法にはいくつかの種類が存在します。
★コンデンスリッチファット(CRF)
アメリカFDA(日本の厚生労働省に該当)の認可を受けたLIPOKIT並びにその付属部材で、採取した脂肪を外気に触れさせないまま遠心分離にかけ、脂肪壊死やしこり、石灰化の原因となる死活・老化細胞や細胞破片などの不純物を除去。
→この不純物が取り除かれた新鮮で濃縮(コンデンス)された脂肪のことを、コンデンリッチファット(CRF=濃縮脂肪細胞)と呼びます。
生着率が高く、ボリューム補填に最も安定して使えるといえます。
濃縮された脂肪のサイズに合わせて、マイクロファッ
トとナノファットに分類できます。
マイクロやナノより大きなサイズをボリューム出しに使うことも多々あります。
・マイクロファット
ナノファットに比べて脂肪が荒く大きめなのでボリュームアップ効果が高い。
一方で目の下や口元など、繊細な部位にも使用可能。
・ナノファット
脂肪細胞をさらに微細化して、脂肪幹細胞や成長因子を多く
含む液状の状態にしたもの。
ボリューム補填というよりも、皮膚の厚みを出すために使われ、「肌質改善」「色素沈着の改善」に使われます。
小じわや目の下の色クマにも効果的です。
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2. 定着率を左右する要因
脂肪注入の課題は「どれだけ定着するか」。一般的には30〜70%といわれますが、差が出る理由は以下の通りです。
・採取方法
強い吸引で採取すると脂肪細胞が壊れやすく、生着率が低下するため、低圧で丁寧に採ることが重要。
・加工法
不純物や血液を除去して濃縮することで、脂肪細胞の生存率が上がる。
・注入技術
まとめて入れると壊死やしこりの原因になるため、細かく分けて入れるのが基本。
・注入部位の状態
血流が良い部位ほど脂肪が生着しやすい。瘢痕組織や血行不良の部位では生着率が下がる。
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3. 脂肪注入と再生医療の組み合わせ
近年は脂肪幹細胞やPRP(多血小板血漿)と組み合わせることで、生着率や肌質改善効果を高める方法も登場しています。
・PRP + 脂肪注入
PRPは、血小板や細胞を活性化する成長因子を多く含む血漿成分です。
あらかじめ採血したご自身の血液からPRPを作成し、脂肪に混ぜて注入することで、脂肪がしっかり定着することを助けます。
仕上がりの持続性を高め、なるべく一度で完成させたい方におすすめです。
PRPに含まれる成長因子が脂肪細胞の生着を助け、同時に肌質改善効果も期待できます。
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4. 部位別のポイント
・目の下 → ナノファットやマイクロファットで影やクマを改善
・頬やこめかみ →大きめの粒子の脂肪を用いて ボリューム補充
・額 → 平坦な額を丸みのある女性らしいラインに
・口元 → 法令線やマリオネットラインを和らげる
・肌質改善 → ナノファットでハリや色素沈着を改善
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まとめ
脂肪注入は「自分の脂肪を使う安心感」だけでなく、加工法や注入技術で仕上がりが大きく変わる施術です。
どの部位に、どの種類の脂肪を、どのように注入するか——これは医師の経験と技術に大きく左右されます。
施術を検討する際は、信頼できるクリニックで丁寧にカウンセリングを受け、自分に合った術式と医師を選びましょう。
当院ではカウンセリングだけでも大歓迎です。
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【プロフィール】
美容外科医/美容皮膚科医 Dr.横山歩依里
日本を代表する美容健康再生医療のクリニック|BIANCA CLINIC GINZA/OMOTESANDO
前職では、美容皮膚科医としてクリニックの立ち上げからクリニック開設に携わり、3年間院長として従事。
約2万人の肌と顔に向き合い、クリニックの発展にも寄与。
治療領域をさらに広めるために、現在は日本を代表する美容健康再生医療クリニックであるBIANCA CLINICに転職。
美容皮膚科の枠にとどまらず、美容外科、美容内科も含めウェルエイジングのために最新美容医療を提供している。
【経歴】
2020年 広島大学医学部医学科卒業
2020年 JCHO東京新宿メディカルセンター及び関連病院勤務(国立国際医療研究センター病院、東京山手メディカルセンター)
2022年 医療法人社団ELM入職 麻布院 院長歴任
2025年 BIANCA入職
【所属学会/資格】
日本美容皮膚科学会
日本抗加齢医学会
産業医資格
【SNS】
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