埋没は結局何法がいい?② 固定点数・糸のかけ方・糸の種類を比較
こんにちは!
「自然な美を、信頼でデザインする。」
形成外科専門医の藤橋政尭です。

前回の記事では、
・どこに固定するか(瞼板法 / 挙筋法 / 自然癒着)
・表留め/ 裏留め
について解説しました。
今回は、埋没の仕上がりや持ちに影響する以下の3項目
① 点数(2点 / 3点 / 4点)
② 糸のかけ方(点どめ / トライアングル / スクエア)
③ 糸の種類(結局違うの?問題)
これについて分かりやすく整理します。
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■ 点数(2点 / 3点 / 4点)の違い
留める点数=二重を支える「柱」の本数です。
柱が少ないと支えが弱く、柱が増えるほど安定します。
つまり、
• 2点 → 変化は出せるが、安定性は弱い
• 点数が増える → ラインの支えが増えて戻りにくくなる
という関係があります。
また、柱が増えることで二重ラインは「カクッとした折れ線」 → 「なめらかなアーチ型」に近づきます。
ただし、点数を増やせば増やすほど良いというものでもありません。
糸を多く入れるほど、組織の瘢痕が強くなりやすいというデメリットもあります。
✅ 結論
• 2点 → 変化は控えめ / 最小限の支え

• 3点 →2点より安定、最低限はほしい点数

• 4点 → 安定性・ラインの綺麗さ・負担のバランスが最も良い(まぶたが厚い / 幅広希望 / 取れたくない人に特に適している)

入れすぎても負担が大きいので、 “4点がちょうどいい”という考え方で問題ありません。
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■ 糸のかけ方の違い(点どめ / トライアングル / スクエア)
埋没法は「何点で留めるか」だけでなく、糸をどう走らせるかでも安定性が変わります。
ただし結論として、どの方法が質が良いというより “その方法に術者が慣れているか” も重要な要素となります。
① 点どめ(最もシンプル)
二重ライン上で、糸を“点”として留める方法です。

メリット
• 手技がシンプルで費用も抑えやすい
デメリット
• 力が一点に集中するため、戻りやすい
• 直後の腫れは意外と強いことがある
向いている人
• まぶたが薄い
• 「幅はほんの少しだけ」「まずは試したい」という人
→ 気軽に始めたい人向け。ただし長期安定を求める場合は不向きです。
② トライアングル法(三角形で支える)
糸を三角形に走らせ、力を分散する方法。三角形は構造的に最も安定する形です。

メリット
• 点留めより 戻りにくい
• ラインが 綺麗にまとまりやすい
• 瞼板法と相性が良い(瞼板に負担が集中しない)
「腫れやすい」と言われがちですが…
→ これは術者の操作次第。自分の場合、むしろ点留めより腫れません。
向いている人
• 自然さと安定のバランスを取りたい人
→ 埋没をするなら、最低限ここからが基本ラインです。
③ スクエア法(四角で“面”として支える / 安定重視)
糸を四角形にかけ、まぶたを面で支える方法です。

メリット
• まぶたが厚い・脂肪がある人でもラインが安定
• 食い込みを柔らかく作れるため 挙筋法と相性◎
• 幅広二重でも綺麗に再現しやすい
※注意点
• 瞼板法とは相性が悪い?
→ 2方向から力がかかり、瞼板が歪むリスクがあります。
向いている人
厚いまぶた / 幅をしっかり出したい / 戻りが不安な人
→ 安定性を求めるなら「挙筋法 × スクエア」は非常に良い選択です。
⭐️ ここで大事なこと
糸のかけ方は、患者さんが指定できないことも多いです。
理由はシンプル。
術者が“最も慣れている方法”がその人にとって一番腫れにくく、安定するからです。
同じ方法でも、
糸を通す層 / 力のバランス / 結びのテンション
これらで仕上がりは全く違います。
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■ 糸の種類は…実はそこまで差が出ません
「特別な糸」「強度が違う糸」「長期持続型の独自糸」
など広告で見かけることがありますが、医療用縫合糸は規格化されており、結果を左右するほどの差はほぼありません。
惑わされないでください。
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■ ここまで聞くと「何が一番いいの?」となるけど…
埋没は、あくまで埋没です。
• 戻らない人は 10年以上キレイに保てる
• 外れやすい人は どんな手法でも外れやすい
これは、手法の優劣より「まぶたの適応」の要素が大きいためです。
まぶたが厚い / 皮膚が余る / 眼窩脂肪が多い
→ 埋没は外れやすい
→ 切開の方が安定
まぶたが薄い / ラインが出やすい / 脂肪が少ない
→ 埋没が長期で安定しやすい
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■ 診察をしていて思うこと
私は、二重切開も多く執刀してきたため、埋没が何度も取れてしまった患者さんのカウンセリングを多く担当してきました。
その中には、
「うちの埋没は絶対に取れません」「特別な糸なので長持ちします」
と説明され施術した方も多くいらっしゃいました。
しかし、実際にまぶたを見てみると、
糸の種類や名称、宣伝文句が原因ではなく「そもそも埋没の適応がないまぶた」だったケースがほとんど。
だからこそ、声を大にして言いたいのは――
埋没で一番大切なのは「方法」ではなく「まぶたに合った手術の選択」です。
二重切開を高いクオリティで手術できないドクターは、埋没の適応がないのに埋没ゴリ押しのカウンセリングをする、といった悲しい現実も実はあります。
一方で、「あなたは切開が適応なので、切開が上手な先生をご紹介します」と正直に言ってくれる良心的な医師もいます。
残念ながらこれに関しては運としか言いようがありませんが、見分けるコツはシンプルです。
✅ 見るべきポイント
二重切開の症例をしっかりSNSで公開しているか。
切開の症例もしっかり出している医師は、埋没と切開の適応を正しく判断できる可能性が高いです。
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■ 最後に
埋没は二重整形の入り口として、とても良い治療です。
「まずは埋没から」という考え方や選択は全くもって正しいです。
ただし、ここは正直にお伝えしたい部分です。
埋没は向いているまぶたと、向いていないまぶたがあります。
そして “向いていないまぶた” に何度埋没をしても、戻るときは戻ります。
例えば…
• 毎年1回以上ラインが緩んでしまう
• 2年以内に3回以上留め直している
• 幅を出してもすぐ緩んでしまう
• まぶたが厚く、食い込みが出にくい
このパターンに当てはまる人は、埋没が悪いのではなく、まぶたの構造が「埋没に向いていない」だけです。
その場合は、切開法の方がむしろ負担が少なく、結果も安定します。
埋没にこだわって糸を増やし、食い込みを深くして…と繰り返すほど、まぶたの組織はダメージを受けて、瘢痕が増え、切開する時のハードルが上がります。
だからこそ大切なのは、「どの方法が流行っているか」でも「どの方法が特別か」でもなく、
「あなたのまぶたには、埋没か切開かを含め、どの方法が合っているか」です。
それを一緒に見極めることが、僕たち美容外科医の役割です。
ぜひお気軽にカウンセリングにお越しください。
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【プロフィール】
藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医
形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。
自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。
「自然な美を、信頼でデザインする。」
そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。
【経歴】
2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業
2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修
2017年4月 昭和大学病院 形成外科
2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科
2019年4月 西尾市民病院 形成外科
2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科
2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科
2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科 診療科長
2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤
2024年4月 銀座TAクリニック副院長
2025年11月 BIANCA CLINIC
【所属学会・資格】
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本美容外科学会(JSAS)会員
【SNS】
Instagram https://www.instagram.com/dr_fujihashi?igsh=MTEzOW1sc3p3bGFibA%3D%3D&utm_source=qr







