肺がんに対する高濃度ビタミンC点滴
今回ご紹介するのは、治療をしてもなかなか改善が認められない肺がん(NSCLC)の患者さんに対し、高濃度ビタミンC点滴と温熱療法を行ったところ、余命の延長が認められ、QOL も大幅に改善した、という論文です。
高濃度ビタミンC点滴は日本でも多く行われている治療法で、アンチエイジングや体質の改善のほか、がんの治療の目的でも行っている方も多くいらっしゃいます。
私も多くの患者様にビタミンC点滴をしている者として、もちろんビタミンC点滴が理論上、抗がんやQOLの改善に良いことはわかっていますし、また患者様のご様子を拝見していても、一般の経過よりも調子が良さそうにお見受けする方が多い印象ではあります。
しかしそんな具合の良い患者様も、もしもビタミンC点滴をしていなかったらどうなっていたかということを、同じ患者様で比べることもできませんし、おそらくその方にもビタミンC点滴が効いていると思いますが、した場合としなかった場合とを比べられないので、判断が難しいですね、、、と患者様とお話することはよくあります。
そんなビタミンC点滴と温熱療法を、肺がんのステージ3または4の、治療にした時としなかった時を比べる論文によると、
無作為でビタミンCと温熱療法を行った患者さんのグループ(48名)は、しなかった患者さんのグループ(49名)と比較して病気が悪くなるまでの期間(無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が延長しました(PFS:3か月 vs 1.85か月、P < 0.05; OS:9.4か月 vs 5.6 か月、P < 0.05)。
またビタミンC点滴などを行ったグループでは QOL が大幅に改善し、ビタミンC点滴と温熱療法は、進行性の肺がんの患者さんに対して、予後の改善をする可能性があるという結論でした。
ビタミンC点滴も温熱療法もどちらも重篤な副作用がある治療ではありませんので、治療をしようか悩まれている方の背中を押すような結果となった論文のご紹介でした。