タンパク質の摂りすぎに要注意|動脈硬化や血管老化との関係は?【医師解説】
タンパク質の摂りすぎが健康にどう影響するのか、BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)美容内科指導医の前田陽子が、先進の研究をもとに解説します。
身体づくりや美容目的でプロテインを飲むなど、日頃タンパク質を摂取しようと意識される方がいらっしゃる一方、過剰摂取のリスクも明らかになってきています。
動物性タンパク質の摂りすぎと血管老化の関連は?わかりやすく解説します。
タンパク質は身体に必要!でも摂りすぎは要注意
タンパク質は、筋肉や皮膚、ホルモンなどをつくるために欠かせない栄養素です。
しかし、必要量を大きく上回って摂取し続けると、身体にとって負担になる可能性も…。
とくに動物性タンパク質に偏った食事は、血管への影響が懸念されます。
最近の研究では、摂取カロリーのうちタンパク質が22%を超えると、心血管疾患のリスクが高まる可能性があることが示されました。
動物性たんぱく質と動脈硬化の関係
2024年に「Nature Metabolism」誌で発表された研究によると、動物性タンパク質をたくさん摂取することで、アテローム性動脈硬化のリスクが上昇する分子メカニズムが明らかにされています。
研究チームは、細胞・動物・人間のデータを組み合わせた包括的な方法で、次のような結果を報告しました。
・タンパク質の過剰摂取により、動脈内にプラーク(沈着物)をつくる免疫細胞の活性が高まる
・特に「ロイシン」というアミノ酸がリスク上昇に関与
・肉・卵・乳製品中心の食生活が影響を及ぼす可能性あり
これらの変化は、血管年齢を加速させ、動脈硬化や心疾患のリスクを高める要因になると考えられています。
◆参照:https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/14800
こんな人はタンパク質の摂りすぎに要注意!
以下の条件に当てはまる方は、注意が必要です。
・心疾患や脳卒中の家族歴がある方
・糖尿病・高血圧などの既往がある方
・サプリメントやプロテインを常用している方
・筋トレ・減量などで極端な高タンパク食を継続している方
これらに該当する方は、タンパク質の過剰摂取による血管への負荷を避けるため、動物性に偏らず、植物性タンパク質(大豆製品など)も取り入れるとよいでしょう。
適正なタンパク質の摂り方は?
「タンパク質=摂れば摂るほどよい」と思われがちですが、大切なのは必要量を把握し、バランスの取れた食生活を送ることです。
・一日の摂取目安は体重1kgあたり1.0~1.5g程度(活動量によって前後)
・動物性・植物性をバランスよく摂取
・食事だけで摂取できる場合は、サプリメントやプロテインを無理に追加しない
健康な血管を保つことは、エイジングケアの基本でもあります。
日々の選択が、将来の血管年齢を左右するといっても過言ではありません。
【まとめ】タンパク質は“質と量のバランス”がカギ
タンパク質は体に必要な栄養素ですが、摂りすぎると血管にダメージを与える可能性があります。
特に動物性たんぱく質に偏った食事は、動脈硬化や心疾患のリスクを高めることが先進の研究で示されています。
重要なのは、日々のたんぱく質摂取の「量」と「質」のバランスを見直すこと。自分の体調や背景に合わせて、健康的な食生活を心がけましょう。
なお、「自分がたんぱく質を適切に摂れているか分からない」という方には、ビアンカクリニック美容内科外来で行っているオーソモレキュラー栄養療法も選択肢の一つです。
血液検査などの結果をもとに不足している栄養素を分析し、医学的に最適なアドバイスをご提案いたします。
関心のある方はぜひ一度カウンセリングにお越しください。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患の診断、治療、予防を目的としたものではありません。健康上の懸念がある場合は、必ず医師にご相談ください。