コラム
2026.10.25
ガミースマイルとは?原因や特徴、治療法を歯科医師が解説
審美歯科のなかでも繊細な領域であるガミースマイル治療のスペシャリスト。国内外で診療・講演・研究・論文執筆を行っています。日本で唯一、アメリカとヨーロッパ双方のインプラント専門医資格を取得。外科的治療・歯科矯正・ボトックス注射など多角的なアプローチを用いて、口元のお悩み全般に対応します。患者様の“なりたい笑顔”を叶える歯科医師です。

ガミースマイルとは、口を開けて笑ったときに上の歯ぐきが目立つ状態です。上唇の動きや歯ぐきの位置、骨格などが関係し、原因に応じてボトックス注射や外科的な治療を検討します。
「写真を撮るとき、つい口を閉じて笑ってしまう」
「大きく口を開けて笑うと、歯ぐきが目立つのが気になる」
そんなお悩みはありませんか?
笑ったときに歯ぐきの露出が気になる原因は、「ガミースマイル」かもしれません。ガミースマイルは笑顔の特徴の1つですが、歯と歯ぐきのバランスを整えたいと考える方も。
ガミースマイルは、歯ぐきが広く見えるという共通点があっても、その原因はさまざまです。
今回は、BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)で審美歯科を担当する歯科医師の築山鉄平が、ガミースマイルの特徴や原因、治療法について分かりやすく解説します。
ガミースマイルとはどのような状態ですか?
ガミースマイルとは、笑ったときに上顎の歯ぐきが大きく露出する状態のこと。
英語で歯ぐきを意味する「gum」の形容詞形「gummy」に由来する名称で、歯科医学では「歯肉の過剰な露出(excessive gingival display)」とも表現されます。
ただし、歯ぐきが見えている状態が異常なわけではありません。どの程度の露出をガミースマイルと捉えるかにも、一定の幅があります。
笑ったときに歯ぐきが3mm以上見える状態が1つの目安
笑ったときに、上の歯ぐきが3mm以上見える。
一般的にはこの状態が、ガミースマイルの1つの目安とされています。
とはいえ、3mmという数字だけで口元の印象が決まるわけではありません。
笑顔の見え方に関する34の研究をまとめた報告では、歯ぐきの露出や、上唇によって歯が隠れる範囲がごくわずかな笑顔が、最も審美的と評価されました。一方で、歯ぐきが3mm程度見える笑顔も、一般の人が許容できる範囲に含まれています[1]。
つまり、最も好ましいと感じられる笑顔と、自然に受け入れられる笑顔には幅があるということ。審美的な感じ方には個人差があり、歯ぐきの露出量だけで治療の必要性が決まるわけではありません。
実際には、歯の長さや形、唇の位置なども笑顔の印象に関係します。

ガミースマイルは病気ではない
ガミースマイルは、基本的に病気ではありません。
歯ぐきが多く見えることも、笑顔の個性として受け止める方もいらっしゃいます。
一方、ご自身では歯ぐきの露出が気になり、写真を撮るときや人前で笑うときに口元を意識してしまう方も。そのような場合には、審美歯科で口元のバランスを整える方法を検討できます。
大切なのは、歯ぐきが何mm見えているかよりも、患者さまがどのような笑顔を希望されているかということです。
ガミースマイルの見え方にはなぜ違いがあるのですか?
ガミースマイルの見え方には、歯と歯ぐきのバランスや、上唇の動きなどが関係しています。
同じように歯ぐきが見えていても、歯が短く見える方と、笑ったときに上唇が大きく持ち上がる方では、口元の特徴が異なるのです。
歯と歯ぐきのバランスによって印象が変わる
歯ぐきが歯の表面を広く覆っていると、実際の歯の大きさよりも短く見え、相対的に歯ぐきが目立ちやすくなります。
また、もともとの歯の大きさや形、生えている位置も、笑ったときの歯と歯ぐきの見え方に関係する要素です。
つまり、ガミースマイルには歯ぐきの露出量だけでなく、歯そのものの特徴や位置が影響しているケースもあるのです。
上唇の動きによって笑顔の見え方が変わる
普段は歯ぐきが目立たなくても、笑った瞬間に大きく見える方もいらっしゃいます。このような場合には、上唇を引き上げる筋肉の働きとの関係が考えられます。
上唇が大きく持ち上がることで、通常は唇に隠れている歯ぐきまで見えるようになるのです。
もちろん、歯ぐきの位置と上唇の動きが同時に影響しているケースもあります。
このように、ガミースマイルは複数の要因によって生じることがあり、治療を考える際には原因を把握することが重要です。
骨格や筋肉、歯ぐきの状態など、具体的な原因については、「ガミースマイルはなぜ起こる?審美歯科で自然な笑顔へで詳しく解説しています。
ガミースマイルにはどのような治療法がありますか?
ガミースマイルの治療法には、審美的歯冠長延長術、リップリポジショニング、ボトックス注射などがあります。
いずれも歯ぐきの露出を軽減することを目指しますが、アプローチする部位や仕組みが異なります。
審美的歯冠長延長術|歯と歯ぐきの見える割合を整える
歯ぐきが歯の表面を覆い、歯が短く見える場合には、審美的歯冠長延長術を検討します。

歯ぐきの位置や形を調整し、必要に応じて周囲の骨にもアプローチする外科的な施術です。歯が見える範囲を整えることで、歯と歯ぐきのバランスの改善を目指します。
ただし、歯ぐきは自由に切除できるわけではありません。健康な歯周組織を維持するため、歯や骨の状態を踏まえて切除範囲を判断する必要があります。
リップリポジショニング|上唇が上がる範囲を調整する
上唇の動きが大きい場合には、リップリポジショニング(上唇粘膜切除術)を検討することがあります。

上唇の内側の粘膜を帯状に切除・縫合することで、笑ったときに上唇が持ち上がる範囲を物理的に制限する外科的アプローチです。
骨格などの影響が大きい場合には、希望する効果が得られない可能性があります。
▶ リップリポジショニング(上唇粘膜切除術)の施術詳細を確認する
ボトックス注射|上唇を引き上げる筋肉の働きを抑える
ボトックス注射は、上唇を引き上げる筋肉の働きを一時的に弱める方法です。
笑ったときに上唇が持ち上がりすぎることを抑え、歯ぐきの露出を軽減します。
切開を伴わない点が特徴ですが、効果は永続的ではありません。ビアンカクリニックでは、通常3〜6ヶ月程度を持続期間の目安としています。
上唇の筋肉の働きが主な原因である場合に選択肢となりますが、骨格や歯ぐきの位置そのものを変える施術ではありません。
ボトックス注射でどの程度の変化が期待できるのか、効果がどのくらい続くのかについては、ガミースマイルへのボトックス注射の効果や持続期間を解説した記事で詳しくご紹介しています。
歯列矯正|歯の位置や噛み合わせを整える
前歯の位置や噛み合わせがガミースマイルに関係している場合には、歯列矯正によって改善できることもあります。
ただし、矯正だけでは上唇の筋肉や骨格の問題に十分対応できないケースもあります。
歯並びや噛み合わせが主な原因と考えられる場合は、矯正歯科での評価が必要です。
ビアンカクリニックではガミースマイルの何を確認しますか?
ガミースマイルの診察でまず確認したいのは、歯ぐきの露出量だけではありません。歯の形や歯ぐきの位置、笑ったときの上唇の動きにも注目します。
例えば、前歯が短く見える場合。歯ぐきが歯を覆っているのか、もともと歯が小さいのかによって、適したアプローチは変わります。
さらに、上唇の動きも関係していれば、1つの施術では希望する変化が得られないことも。
ビアンカクリニックでは、こうした原因を踏まえて、ボトックス注射や外科的な施術の適応を判断します。
私が大切にしているのは、単に歯ぐきの露出を減らすのではなく、歯と唇のバランスを考えながら、その方らしい笑顔を目指すことです。
ガミースマイルに関するよくある質問
ガミースマイルについて、セルフケアや歯列矯正、治療後の笑顔など、気になりやすい疑問にお答えします。
Q1.ガミースマイルは自力で治せますか?
上唇の動きを意識することで、一時的に歯ぐきの見え方が変わることはあります。
しかし、マッサージや表情筋トレーニングによって骨格や歯ぐきの位置を変え、ガミースマイルを改善できるという十分な医学的根拠はありません。
気になる場合には、まず原因を確認することが大切です。
Q2.ガミースマイルは歯列矯正だけで改善できますか?
歯の位置や噛み合わせが主な原因であれば、矯正治療で改善する可能性があります。
一方、上唇の動きや歯ぐきの位置、骨格などが関係している場合には、矯正だけで十分に改善できないこともあります。
Q3.ボトックス注射だけでガミースマイルは治りますか?
上唇の筋肉の働きが主な原因であれば、ボトックス注射だけで歯ぐきの露出を軽減できる場合があります。
切開を伴わずに調整できるのが特徴です。効果が薄れた際には再施術を検討できる一方、歯ぐきの位置や骨格が主な原因の場合は、別の治療法が適していることもあります。
Q4.ガミースマイルの治療で笑顔が不自然になることはありますか?
治療方法や変化の程度によっては、笑顔に違和感が生じる可能性があります。
例えば、ボトックス注射で筋肉の働きを抑えすぎると、表情が変化したり、左右差が生じたりすることも。
自然な笑顔を目指すためには、もともとの唇の動きや歯の見え方を考慮することが重要です。
Q5.ガミースマイルの治療は1つの方法だけで改善できますか?
1つの施術で改善が期待できる場合もあれば、複数の原因が関係しているため、施術の組み合わせを検討する場合もあります。
ただし、複数の施術を行えば必ず良い結果になるわけではありません。それぞれの施術の目的とリスクを踏まえ、必要性を判断します。
ガミースマイルを理解し、自分らしい笑顔を大切に
ガミースマイルは、笑ったときに歯ぐきが大きく見える状態ですが、必ずしも治療が必要なわけではありません。
一方、口元のバランスを整えたい場合には、原因に応じて審美的歯冠長延長術やリップリポジショニング、ボトックス注射などの方法を検討できます。
私が大切にしているのは、歯と歯ぐき、唇の動きの関係を理解し、患者さまが希望する変化を一緒に考えることです。
BIANCA CLINICでは、口元の状態を確認しながら、必要な施術を検討しています。
ガミースマイルが気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。
参考文献