脱毛の原因や治療方法
脱毛については、病気の症状である場合、年齢に伴う場合、季節に伴う場合など、原因はさまざまです。
先日報道番組でもご紹介させていただいたので、こちらでもご案内したいと思います。
皮膚科専門医の葉山愛弥です。
頭皮の毛には毛周期というものがあります。
毛根の毛母細胞が活発に分裂し、毛が成長する成長期。全体の髪の8割がこの状態です。
成長がとまり、毛根が縮小して毛乳頭から離れる時期を退行期。毛の成長は静止し、2-3週間続きます。
毛根が完全に活動を停止し、抜け落ちるのを待っている時期が休止期。頭皮の1割程度がこの状態です。
最後に古い毛が抜け落ち、新しい髪が生え始める段階が脱毛期。
※体の毛にも勿論同様に毛周期があるため、脱毛期にある毛にはレーザーが反応しないため毛周期に合わせた脱毛施術が必要です。色に反応するレーザーですので毛は抜かずに施術を受けてください。剃毛は問題ありません。
頭皮の毛周期のサイクルは4-6年ともいわれています。
秋の脱毛
日々頭髪は1日に50-100本抜けると言われていますが、秋になると脱毛が増え150-200本抜けるとも言われています。
紫外線でのダメージ、暑さでの皮脂分泌が過剰にあり雑菌が増えてダメージとなる可能性。
夏の暑さによる体のストレス、夏バテにともなう栄養不足で頭皮への栄養がきちんといきわたらない。
本来毛は体を守るために存在しているものであるため、紫外線が多い時期は頭皮を守るために髪の成長期が長くなり、秋になると元の周期に戻るために抜けやすくなる。
などと言われております。
対策
夏の間も帽子や日傘、日焼け止めスプレーでの日焼け対策。
洗浄はブラシでとかしてから、一度軽くお湯で洗髪してから、シャンプーを用いてしっかり洗浄。その際に爪は立てずに指の腹で洗い、しっかり洗い流してください。
ドライヤーは20㎝離し、濡れた髪は雑菌も増える要因になるためしっかり乾かしましょう。
栄養分としては亜鉛が不足すると脱毛の原因になることもあるため、しっかりとした食生活とストレスのない生活を心がけましょう。
AGA
次に年齢に伴う脱毛について。
男性型脱毛では男性ホルモンが影響して脱毛します。
男性ホルモンであるテストステロンがⅡ型5α還元酵素で還元されると、ジヒドロステロン(DHT)となり、毛包の受容体に結合し、成長期毛を短縮させるために徐々に毛包が縮小し柔毛化して脱毛にいたります。
そこでフィナステリドはⅡ型のみ(頭皮や前立腺に多い)、デュタステリドⅠ型+Ⅱ型(頭皮、皮脂腺、全身)両方を阻害するため、デュタステリドの方が広範囲でのDHTを減らせるため効果が強く、抑制率もフィナステリドが60-70%に対してデュタステリドは90%以上とより強力にDHTを抑えてくれます。
日本皮膚科学会のガイドライン(AGA 2022年版)でもいずれも強く推奨されております。
また、ミノキシジルでは男性型脱毛でも、女性型脱毛でも血管拡張や成長期の延長、休止期から成長期への移行促進など効果が見られます。
一般的には1日2日、男性では5%濃度、女性では1-2%濃度が推奨されております。
ミノキシジルの内服治療もありますが、副作用のリスクが高く、日本では未承認であるため、特に心血管障害がある方、腎障害、肝障害のある方は飲んではいけません。また、長期服用での慢性的な心負荷で心不全の報告もあります。
また、プルリアルヘアデンシファイ、ボトックス(最近出た論文より)、ターゲットクールでの冷却刺激、幹細胞上清液(特に脂肪由来)、エクソソーム注入などでも効果があります。
女性型脱毛の過去ブログ ↓
https://biancaclinic.jp/blog/44084/
疾患としての脱毛
ただし、脱毛といっても疾患が隠れている場合もあります。
・円形脱毛症、汎発性円形脱毛症、蛇行性脱毛症、全頭脱毛症
・甲状腺機能低下症に伴うびまん性脱毛
・SLEなど膠原病に伴うびまん性脱毛、円盤状紅斑に伴う脱毛
上記は診断により治療法がことなりますので、一度皮膚科を受診してください。