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Dr’s BLOG / 先生のブログ一覧

2025-08-17

イソトレチノインの効果と副作用

イソトレチノインについて最近副作用を知らなかった等の話を耳にすることがあるため、一度ご紹介しておこうと思います。

皮膚科専門医の葉山愛弥です。

 

イソトレチノイン

「イソトレチノイン(Isotretinoin)」は、重度の尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)=ニキビ治療に使用される強力なビタミンA誘導体です。日本では「イソトレチノイン」は未承認薬(※2025年現在)ですが、海外では「ロアキュタン(Roaccutane)」「アキュテイン(Accutane)」などの商品名で広く使われています。

 

作用機序としては皮脂腺を縮小させ、 皮脂の分泌を大幅に抑制し、アクネ菌の増殖を抑えます

適応はやはり既存の保険治療(抗生物質・外用薬)が効かない重度ニキビで、瘢痕(ニキビ跡)を予防することにもつながります。

 

一般的な使用方法は、通常は1日1~2回、体重に応じた量(例:0.5〜1mg/kg)を服用しますが、日本では症状の程度によりますが、女性であれば20-30㎎/日、男性であれば30-40㎎/日の0.5㎎/kg/日で効果が出ている印象です。

治療期間は 16〜24週間(約4〜6か月) が基本です。

 

使用できない人、使用する上での懸念点

 

  • 妊婦・授乳婦さん
  • 近いうちに妊娠を希望している人

  • 肝疾患のある人

  • ビタミンA過剰症の人

  • 12歳未満

 

イソトレチノインと骨端線の関係

骨端線とは、成長期の子どもや10代に存在する軟骨の部分で、間隔がある間はまだ身長が伸びるとされていますが、思春期が終わる頃に骨端線は閉じて、骨の成長が止まります。そのためイソトレチノインと身長での懸念点は下記に記します。

 

  1. 骨端線の早期閉鎖

    • 高用量または長期使用によって、成長期に骨端線の早期閉鎖を引き起こす可能性が指摘されています。

    • これは、骨の成長が途中で止まってしまうリスクを意味します。

  2. 骨代謝への影響

    • イソトレチノインはビタミンA誘導体であり、過剰なビタミンAは骨の形成や代謝に悪影響を与えることが知られています。

    • まれに骨粗鬆症様の変化や、骨の石灰化異常が報告されています。

  3. 成長障害

    • 特に小児・思春期の患者で、慎重な使用が必要とされる理由です。

    •  
    • 12歳未満(原則)骨端線(成長板)への影響があると報告されています。

 

※文献やガイドラインの見解

  • 日本皮膚科学会やFDA(米国食品医薬品局)は、イソトレチノインの使用にあたって骨への影響のリスクを警告していますが、骨端線閉鎖に関しては症例報告があるものの、非常に稀で、用量・使用期間との関係が深いとされます。そのため、成長期の使用は注意が必要と考えるため、日本では原則として、骨の成長が終わる16-18歳以降での使用が推奨されます。

  • どうしても10代前半で使用が必要な場合は、小児科医・皮膚科医・整形外科医など複数の専門医と相談しながら進めるのが望ましいです。

     

    項目 内容
    骨端線への影響 早期閉鎖のリスクあり(稀だが注意)
    対象年齢 原則、骨成長がほぼ終了している年齢以降
    使用時の注意 長期・高用量を避ける。定期的なモニタリング
 
 
イソトレチノインの副作用と対策
 
唇の乾燥・ひび割れ
    • 寝る前にリップパック(ワセリン+ラップ)

    • 高保湿のリップクリームを頻繁に使用(例:ワセリン、Curel、ユリアージュなど)

 

肌の乾燥、かわむけ、かゆみ
    • 洗顔は1日2回、弱酸性・低刺激の洗顔料を使用

    • 保湿は朝晩にセラミド・ヒアルロン酸配合のクリームや乳液

    • こすらない・ピーリングやスクラブは避ける

    • 室内の加湿も有効

 

鼻の乾燥、鼻血
    • ワセリンや保湿用の軟膏を綿棒で鼻の中に塗る

    • 加湿器を使用、特に就寝時

    • 強く鼻をかまない

 

眼の乾燥、かすみ
    • 人工涙液(市販の防腐剤無添加の目薬がおすすめ)

    • コンタクトレンズは乾燥しやすいので注意

 

肝機能障害、脂質異常(基本的には無症状です)
    • 脂っこい食事・飲酒を控える(肝臓に負担)

    • 定期的な血液検査(1〜2か月ごと)
    • サプリ(ビタミンAやE)は併用禁止 → 過剰になる可能性

 

精神的な副作用(抑うつ・不安・イライラ)
    • 服用中は気分の変化に敏感になること

    • 気分の落ち込み、無気力など

    • 元々うつ傾向がある人は要注意 → 使用前に精神科で相談を

 

筋肉痛・関節痛・疲労感
    • しっかり睡眠をとる

    • 運動を控える or 軽めに調整
    •  
    • 長引く場合は用量調整を検討(医師と相談)

使用経験上、若い方が内服されることもあり、乾燥が多く、肝障害よりもやや脂質異常が多いような印象です。

 

アメリカでの治療

 

アメリカでは妊娠可能な女性(FRP: Females of Reproductive Potential)に対しては慎重で、適用されるスケジュールです。

iPLEDGE制度における妊娠検査の具体スケジュール

 

タイミング 内容 補足
治療前(初回診察前) 1回目の妊娠検査(尿または血液) 医師による診察前に陰性を確認
治療前(処方直前) 2回目の妊娠検査(血液検査推奨)

初回検査とは1か月以上の間隔が必要

陰性確認後にiPLEDGEで承認され処方開始。

治療中(毎月1回) 毎月、月経周期に合わせた妊娠検査

陰性確認後に処方許可。

検査から7日以内に薬を受け取る必要あり。

治療終了後 治療終了後の妊娠検査(推奨)

服用終了後も1か月間は避妊継続。

医師によってはこの時点でも検査実施。

国によっては6か月

 
🔺日本や欧州では「服用終了後1か月間」の避妊が一般的

🔺アメリカの一部ガイドラインでは最大6か月間を推奨

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1b.html

 
日本との違い

 

項目 アメリカ(iPLEDGE) 日本(自由診療・未承認)
使用の規制 非常に厳格 医師により対応が異なる
妊娠検査 毎月必須 医師による指導次第
登録制度 全員が義務 なし(任意の管理)
薬局での管理 登録薬局でのみ受け取り可能 自由診療で処方、または個人輸入も可能

iPLEDGEの意義

  • 非常に手間がかかる制度ですが、胎児への深刻な影響(耳・目・脳・心臓の奇形など)を防ぐためには不可欠です。

  • 日本では同等の法的枠組みはないため、使用するなら自己管理がより重要になります

 

正規の処方 vs 個人輸入
比較項目 正規の医療機関 個人輸入
安全性 医師管理、血液検査あり 自己責任、検査なしが多い
薬の信頼性 正規品・管理下 偽造品リスクあり
法的リスク なし 販売・譲渡で薬機法違反になる可能性

⚠️ 自己判断での服用・譲渡・転売は違法です。このような副作用があることにご注意ください。

 

ここで皮膚科専門医の私個人のつぶやき・・・

今後日本でも保険適応になる可能性もあるイソトレチノイン。

医師の管理下であれば、そんなに怖い薬ではなく、重症にきびにもとても優れている治療法だと思います。

ただ、上記のような副作用がありますので、個人的には使用せず、医師を頼っていただけますと幸いです。

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