レニスナ注射で自然な若返りを。ジュベルックとの違いと持続効果
レニスナについて本日はご紹介したいと思います。
皮膚科専門医の葉山愛弥です。
レニスナ注射とは
LENISNA(レニスナ)は、韓国で開発された次世代のコラーゲンブースター注入材です。主成分はPDLLA(ポリDL乳酸)で、トウモロコシやイモ類のデンプンを発酵させて得られる乳酸を原料に作られた、生体適合性の高い素材です。米国FDAや韓国K-FDAの承認を取得しており、安全性と信頼性が認められています。
医療現場では吸収性縫合糸や溶ける糸リフトにも用いられており、体内に残らず1〜2年かけてゆっくり吸収されるため、持続的な効果が期待できます。注入後は線維芽細胞を刺激してコラーゲンの産生を促し、肌全体の弾力やハリを取り戻しながら、毛穴の引き締めや小ジワの改善、そして自然なボリュームアップを実現します。
さらにレニスナには非架橋ヒアルロン酸も配合されています。これにより、注入直後からふっくらとしたハリや潤いを感じることができ、時間が経つにつれてPDLLAがコラーゲンを増やすことで、長期的な若返り効果へとつながります。即効性と持続性を兼ね備えた「ハイブリッド型スキンブースター」である点が、従来の製剤との大きな違いです。
レニスナとジュベルックの違い
ジュベルックとレニスナはいずれもPDLLAを主成分とした製剤で、同じメーカーから開発されましたが、成分構成と得意分野に違いがあります。
ジュベルックはPDLLA単独製剤であり、比較的浅い層に注入して毛穴の開きや小ジワの改善を目指す治療です。
韓国では毛穴治療として爆発的な人気を誇り、特に肌表面の質感改善に優れています。
一方、レニスナはPDLLAに非架橋ヒアルロン酸を組み合わせた製剤です。非架橋ヒアルロン酸による即時的なハリ感や潤いが得られると同時に、PDLLAによるコラーゲン産生が長期的な弾力やボリューム改善につながります。
したがって、毛穴や小ジワといった表面的な質感改善に特化したジュベルックに対し、レニスナは「即効性と持続性を兼ね備え、ボリュームロスやたるみにも対応できる製剤」となっています。
お悩みに応じて両者を使い分けたり組み合わせることで、より理想的な仕上がりが得られます。
このようにレニスナは、ヒアルロン酸による即効的なボリューム感と潤い、そしてPDLLAによる持続的なコラーゲン増加の両方を兼ね備えています。肌質改善と若返り効果を同時に実現できるのが最大の特長です。
レニスナ注射の施術方法と治療の流れ
医師が手打ちで気になる部位やお顔全体に局所注射を行います。PDLLAは丸い分子構造を持ち、過度な刺激を避けながら細胞を穏やかに活性化させるため、炎症やしこりのリスクが低いよう設計されています。
施術は1か月おきに3回を基本とし、その後は半年から1年ごとにメンテナンスを行うことで、持続的な肌質改善と若返り効果を期待できます。
レニスナ注射の安全性と臨床エビデンス
レニスナ自体は新しい製剤ですが、同じくコラーゲンブースターとして使用されるPDLLAやPCL製剤(こちらも吸収糸に使用される成分)に関しては複数の臨床研究が行われています。PCL製剤を用いた研究では、注入から半年以上経過しても真皮のコラーゲン密度が有意に増加していたことが報告されており*1、またBeerらの研究ではポリカプロラクトン製剤の注入がしわ改善に有効で安全性も高いことが示されています*2。さらに、Goldらによる総説では、フィラー全般の科学的根拠が整理され、コラーゲンブースター製剤が単なる充填ではなく、肌質そのものを改善する治療であることが強調されています*3。
こうしたエビデンスは、同じ作用機序を持つレニスナの有効性と安全性を裏付ける根拠となっています。
レニスナ注射はこんな方におすすめ
ヒアルロン酸注射の持続期間や効果に物足りなさを感じている方、毛穴や小ジワだけでなくボリュームロスや輪郭の変化も気になっている方、そして長期的に持続する自然な若返りを求める方にレニスナはおすすめです。
https://bianca-omotesando.jp/medical-spa/fillers-injectables/lenisna/
参考文献
*1 Liu Y, et al. Polycaprolactone-based dermal filler stimulates neocollagenesis and long-lasting volume restoration in human skin. Dermatol Surg. 2016;42(11):1351-1359.
*2 Beer K, et al. A randomized, evaluator-blinded, controlled study of the safety and efficacy of polycaprolactone-based filler for soft tissue augmentation. J Drugs Dermatol. 2019;18(5):426-432.
*3 Gold M, et al. The science and art of dermal fillers: an evidence-based review and update. J Cosmet Laser Ther. 2020;22(1):5-13.