眼瞼下垂の治療法 ⸻美容手術・保険手術の違い
こんにちは!
「自然な美を、信頼でデザインする。」
形成外科専門医の藤橋政尭です。
前回は、まぶたが開くメカニズムと眼瞼下垂の原因について解説しました。
(前回のブログ参照 ▶︎ https://biancaclinic.jp/blog/46274/)
今回は治療法についてお話ししていきます。
眼瞼下垂といっても、原因や重症度、仕上がりの希望によって適した手術法は異なります。
ここでは代表的なアプローチと、美容目的・保険診療の違いを整理していきます。
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■ 眼瞼下垂手術のアプローチ法
眼瞼下垂の治療は、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の力を、再び瞼板にしっかり伝わるようにすることが目的です。
手術のアプローチは大きく 経皮的アプローチ と 経結膜的アプローチ に分かれます。
① 経皮的アプローチ
まぶたの表側(皮膚側)を切開し、腱膜やミュラー筋を直視しながら操作する方法です。
術野が広いため、構造をしっかり確認でき、確実性の高い治療ができます。
皮膚のたるみの切除や脂肪の減量も同時にできるため、もっとも標準的な術式です。
② 経結膜的アプローチ
まぶたの裏側(結膜側)から行う方法で、表に傷が残らないのが利点です。
一方で、結膜 → ミュラー筋 → 挙筋腱膜という層を狭い術野で扱うため、高度な技術が必要とされます。
糸によるタッキング(縫い寄せ)で開瞼力を補助することが多く、ダウンタイムを抑えたい軽度の下垂に適しています。
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■ 挙筋前転法と挙筋短縮法
どちらも挙筋腱膜を操作する術式ですが、アプローチに違いがあります。

引用元:『顔の美容外科手術 第1版』(日本医事新報社 2021年) p.57 図1を一部改変して掲載
挙筋前転法 は、伸びた挙筋腱膜をミュラー筋から剥離し、単独で瞼板に再固定(または折りたたんで短縮)する方法です。
ミュラー筋を温存できるため、ダウンタイムが比較的短く、自然な開きが得られるのが特徴。
軽度〜中等度の下垂に向いています。
美容で目の開きを少しだけ良くしたい、といった場合は基本的に挙筋前転のみで全く問題ありません。
挙筋短縮法 は、挙筋腱膜とミュラー筋を一体化したまま短く切除して固定する方法です。
より強い引き上げが可能で、先天性や重度眼瞼下垂に有効ですが、ミュラー筋まで扱うため高度な技術が必要です。
美容外科では扱わないことも多く、形成外科領域で行われることがほとんどです。
挙筋前転のみで良好な結果が出なかった場合に、追加で挙筋短縮まで行うこともあります。
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■ 偽性眼瞼下垂と眉下切開
眼瞼下垂のように見えても、実際には 皮膚のたるみが被さっているだけ という場合があります。
これを偽性眼瞼下垂と呼び、筋肉の手術をしても改善しません。
この場合は、眉下切開で余剰皮膚を切除することで、自然な開瞼とスッキリした上まぶたを作ることができます。
加齢で眼瞼下垂の相談に来られる方の中には、偽性単独である場合もあれば併発している場合もあり、有効な選択肢の一つです。
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■ 保険診療と自費診療の違い
眼瞼下垂手術は、視野が狭くなる・黒目の半分以上がまぶたで隠れるなど、一定の診断基準を満たす場合には保険適用が可能です。

引用元:『顔の美容外科手術 第1版』(日本医事新報社 2021年) p.58 図3を一部改変して掲載
一方で、「眠そうに見える」「目の開きをもう少し良くしたい」など、美容目的で行う場合は自費となります。
保険診療は基本的に「機能回復(見えるようにする)」を目的としますが、美容外科では「見た目の美しさ」まで含めてデザインするのが特徴です。
ただし、形成外科・美容外科の両方を経験したドクターであれば、保険診療であっても審美面まで配慮した仕上がりを意識してくれることもあります。
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■ まとめ
眼瞼下垂は、見た目の問題だけでなく、日常生活の快適さにも関わる機能的な疾患です。
挙筋前転法・挙筋短縮法・眉下切開など、適した手術は患者様ごとに大きく異なります。
大切なのは、機能とデザインの両面を理解し、最適な治療を提案できる医師に相談することです。
「目の開きが悪い」、「疲れて見える」、「もう少し目をパッチリさせたい」など、そのような悩みを感じたら、まずはお気軽にご相談ください。
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【プロフィール】
藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医
形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。
自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。
「自然な美を、信頼でデザインする。」
そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。
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【経歴】
2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業
2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修
2017年4月 昭和大学病院 形成外科
2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科
2019年4月 西尾市民病院 形成外科
2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科
2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科
2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科 診療科長
2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤
2024年4月 銀座TAクリニック副院長
2025年11月 BIANCA CLINIC
【所属学会・資格】
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本美容外科学会(JSAS)会員







