クマはなぜできる? ⸻「影として目立つ理由」を構造から解説
こんにちは!
「自然な美を、信頼でデザインする。」
形成外科専門医の藤橋政尭です。
「クマが気になる」「疲れて見える」「たくさん寝てもクマが治らない」というご相談は非常に多いですが、クマは単純に寝不足や疲れているから目立つ訳ではありません。
クマの原因は様々な要因がありますが、ほとんど多くの方がお悩みのクマの正体は“影”であり、その影を生んでいるのは下まぶたの構造そのものです。
今回は、クマがなぜできるのか、そしてなぜ影として目立つのかを、できるだけ分かりやすく整理します。
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■ クマが“影”として目立つ理由
影ができる理由はとてもシンプルで、「光が上から当たるから」です。
私たちの顔には太陽や部屋の明かりなど、常に上方向から光が当たるため、
膨らんだ部位(突出) → その下に凹み(段差)
この構造があると必ず影ができます。

引用元:『顔の美容外科手術 第1版』(日本医事新報社 2021年) p.74 図1を一部改変して掲載
この“膨らみ × 凹み”の組み合わせが、クマを濃く見せる根本的なメカニズムです。
• 膨らみ(眼窩脂肪の前方突出)
• 凹み(tear trough や mid-cheek groove)
この段差が深いほど、影は濃く、クマとして認識されやすくなります。
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■ 脂肪の膨らみが生じる理由
下まぶたの“ふくらみ”の正体は 眼窩脂肪 です。

引用元:『顔の美容外科手術 第1版』(日本医事新報社 2021年) p.74 図1を一部改変して掲載
この脂肪は眼球のすぐ下に位置し、本来は「ロックウッド靭帯」という強い靭帯によって支えられています。
しかし、加齢とともにこの靭帯が緩むと、眼球の重さがそのまま下の脂肪に伝わるようになり、結果として眼窩脂肪が前方へ押し出されてきます。
さらに、眼窩脂肪の量にはもともと個人差があり、脂肪量が多い方では10代からふくらみが気になるという方も珍しくありません。
加えて、皮膚・眼輪筋(下まぶたの筋肉)・眼窩隔膜(脂肪を包んでいる膜)も年齢とともに緩んでくるため、突出がより明確になります。
つまり、
ロックウッド靭帯のゆるみ × 眼窩隔膜のゆるみ × 皮膚・筋肉のゆるみ × 脂肪量の個人差
これらが重なって、下まぶたのふくらみが生じてくることになります。
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■ tear trough(ティアトラフ)が出現する理由

tear trough は、「眼輪筋下靭帯(ORL)」という靭帯が関係しています。
靭帯とは、皮膚を骨に固定する組織です。
この靭帯が強く張っている部分は動きにくく、そこだけ皮膚が凹んで見えます。
さらに、加齢とともに起こる骨の萎縮(骨が痩せて奥に下がる変化) も影響します。
靭帯は骨に付いているため、骨が奥へ下がると靭帯も後退し、結果として皮膚側の凹みがより深く見えるようになります。
そこに 眼窩脂肪のふくらみ が重なることで、
• 上は脂肪が前に出る
• 下は靭帯+骨萎縮で凹む
という“段差”が生まれ、光が当たったときに影が濃く見える=クマとして認識されやすくなります。
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■ mid-cheek groove(ミッドチーク)が出現する理由

mid-cheek groove は tear trough より下にできる凹みで、主にミッドフェイス(頬の中央)のボリューム低下が関係します。
加齢で頬の脂肪が下に落ちると、上方向の支えが弱くなり、境界線(=凹み)がくっきり浮き出てきます。
さらに 上顎骨の萎縮により土台が奥まることで、凹みがより深く見えやすくなります。
内側にはnasojugal grooveという凹みもあり、tear troughと連続して影をつくるため、より“線状の影”が強調されがちです。
tear trough と nasojugal〜mid-cheek groove が重なると、目の下から頬にかけて影がつながり、クマが一段と濃く見えるのが特徴です。
これがいわゆるゴルゴラインです。
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■ 皮膚のたるみもクマが目立つ原因に
脂肪や靭帯だけでなく、皮膚のたるみも影を強く見せる原因になります。
皮膚が余って下方向に下がる / 下まぶたの輪郭が不鮮明になる / 影が広い範囲に落ちやすくなる など。
特に40代以降では、
「脂肪のふくらみ × tear trough × mid-cheek × 皮膚のたるみ」
という複合で影が強くなることが多いため、治療も組み合わせが必要になります。
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■ まとめ
手術で治せるクマの本質は、すべて「膨らみと凹みの段差が光で強調されて見える影」です。
• 眼窩脂肪が前に出る
• tear trough が深い
• mid-cheek が凹んでいる
• 皮膚がたるんでいる
これらの要素が重なるほど、影は濃く見えるようになります。
クマ治療では、この“段差をどうなくすか”が最も重要で、脱脂、脂肪移動(ハムラ法)、脂肪注入、除皺術(余剰皮膚切除)など、それぞれの原因に対応する手術選択が必要になります。
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【プロフィール】
藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医
形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。
自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。
「自然な美を、信頼でデザインする。」
そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。
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【経歴】
2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業
2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修
2017年4月 昭和大学病院 形成外科
2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科
2019年4月 西尾市民病院 形成外科
2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科
2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科
2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科 診療科長
2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤
2024年4月 銀座TAクリニック副院長
2025年11月 BIANCA CLINIC
【所属学会・資格】
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本美容外科学会(JSAS)会員







