年齢別クマ治療ガイド⸻ 10代〜50代で変わる最適な治療法とは?
こんにちは!
「自然な美を、信頼でデザインする。」
形成外科専門医の藤橋政尭です。
これまで全8回に渡って、クマの構造・皮膚のたるみ・ハムラ法・脂肪注入など、クマの原因やさまざまな治療法について解説してきました。
今回のテーマは、患者さんが特に気にされる 「年齢による治療の違い」 です。
もちろん個々の下まぶたの状態によって最適解は変わりますが、実際の臨床経験からも年齢ごとに傾向が明確に分かれるのは事実です。
そこで今回は、年代別にどのような治療を選ぶことが多いのか、その理由とともに分かりやすく整理していきます。

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■ 年齢で大きく変わるポイント:皮膚のたるみ
まず最初に判断すべきは、皮膚のたるみがあるか、ないか。
これは年齢とともに確実に進行する要素で、治療選択に大きな影響を与えます。

● 30代まで
ほとんどの方で皮膚のたるみは軽度。
そのため 下眼瞼除皺術(皮膚切除)を必要とするケースは非常に少ない です。
むしろ、この年代からスネコス注射などで皮膚のハリ低下を予防しておくのは大事です。
● 40歳を過ぎると
皮膚のたるみが必ず目立ち始めます。
これは誰でも避けられない自然変化です。
皮膚が伸びて下垂している状態では、中の構造を整えても表面のたるみがそのまま残ってしまいます。
● 50代以降は
ほぼ確実に皮膚切除を伴う下眼瞼除皺術が必須。
たるみが強いため、皮膚を取らずに治療するのは現実的ではありません。
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■ 内部構造の変化:脂肪の膨らみ・眼輪筋や眼窩角膜の緩み
加齢とともに、眼窩脂肪が前にせり出す「脂肪ヘルニア」が進行し、さらにその表面にある眼輪筋や眼窩隔膜も引き伸ばされて緩んでくるため、再発予防の意味でもハムラ法が望ましい年代が増えます。

● 10代〜20代前半
脂肪ヘルニアはまだ軽度で、眼輪筋・隔膜もしっかりしており緩みが少ない。
→ 脱脂のみで十分改善できるケースも多い
tear trough(凹み)も浅い場合がほとんどで、内部構造の大きなリセットは必要ない年代。
● 20代後半〜30代前半
tear trough の凹みが目立ってくる人が増え、脂肪の突出がやや強くなってくる年代。
→ 脱脂+脂肪注入 または 裏ハムラ法 の適応が多くなる
まだ隔膜の緩みは軽度なので、ハムラ法まで行わなくても良いが、tear troughの凹みへのアプローチは必要となってきます。
● 30代後半〜40代前半
tear trough の凹みがさらに目立ち始めることが多く、脂肪の突出も強くなってくるため、内部構造の治療が必要になるケースが急増。
→ 裏ハムラ法が最も適応しやすい年代
● 40代後半〜
皮膚のたるみも加わるため、内部構造と皮膚を同時に治せる 表ハムラ法が適応になるケースが増える。
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■ 年代別の大まかな治療適応(経験からの傾向)
以下はあくまで「臨床経験上、提案することが多い傾向」です。
もちろん個人差はあるため、必ずしも全例がこれに当てはまるわけではありません。
●10代
• 脱脂のみで改善できる例が多い
●〜20代半ば
• 脱脂 or 脱脂+脂肪注入
• 裏ハムラ法
若い年代でも tear trough が深い場合は脂肪注入や裏ハムラが必要。
●20代後半〜30代後半
• 裏ハムラ法
• 脱脂+脂肪注入
脂肪の突出・凹みが増えるため「脱脂のみ」はほぼ適応外。
●30代後半〜40代前半
• 裏ハムラ法が最も多い
凹み・膨らみ・皮膚の質がすべて変化し始める年代。
●40代後半
• 裏ハムラ法 or 表ハムラ法
皮膚たるみの程度で分ける。たるみが強ければ表ハムラが望ましい。
●50代以降
• 表ハムラ法が基本
• 皮膚切除が必須
脂肪注入は生着率が大きく下がるため、複数回行う必要が生じる。
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■ 脱脂のみは「若い年代以外は注意」
10代〜20代前半までは脱脂単独で十分なことも多いですが、20代後半以降になると脱脂のみで満足するケースはほぼない、というのが正直な実感です。
脂肪を取るだけでは、凹みが残り老け見えにつながったり、将来的な再発のリスクが高まるため、適応には慎重さが必要です。
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■ まとめ
今回の内容は、これまでの臨床経験から「年齢別の、よくお勧めする傾向」をまとめたものです。
もちろん個人差があるため、必ずしもこの術式が正解というわけではありません。
治療を考える際の参考にしていただければと思います。
年齢はあくまで一つの目安で、最終的な治療選択は 皮膚のたるみ / 脂肪の膨らみ / 凹みの深さ / 隔膜の緩み などを総合的に見て判断します。
クマ治療は“ふくらみを取るだけ”ではなく、年齢による構造変化に合わせて最適な治療を組み合わせることが大切です。
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【プロフィール】
藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医
形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。
自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。
「自然な美を、信頼でデザインする。」
そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。
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【経歴】
2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業
2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修
2017年4月 昭和大学病院 形成外科
2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科
2019年4月 西尾市民病院 形成外科
2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科
2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科
2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科 診療科長
2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤
2024年4月 銀座TAクリニック副院長
2025年11月 BIANCA CLINIC
【所属学会・資格】
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本美容外科学会(JSAS)会員







