皮膚を切っても目が開かない!?“本当の原因”は○○だった話
みなさん、こんにちは!
自然で上品な若返りを提案する、形成外科専門医のありす先生です。
![]()
↓以前、こんな記事を書きました。
「眉下切開?二重埋没法?前額リフト?あなたに合った”まぶたのたるみ”の治療法とは」
https://biancaclinic.jp/blog/46480/

「上まぶたの皮膚が重そうだから、ここを切れば目が開くでしょ?」
——そう思って来院される方は、とても多いです。
でも実は、
皮膚だけを切っても“目が開かない”ことは珍しくありません。
なぜなら、本当に原因になっているのは、
皮膚ではなく、まぶたの奥にある“上眼瞼挙筋”という筋肉の弱り。
挙筋がゆるんだ状態を「眼瞼下垂症」と呼びます。

↑「専門医取得に必要な形成外科手技36 下」克誠堂出版 より引用
今日は、ビアンカクリニックでも行っている代表的な治療、MT法と眼瞼下垂切開法について、わかりやすく解説します。
そもそも : 眼瞼下垂とは?
“まぶたが十分に上がらない状態”のこと。
黒目が半分しか見えなかったり、眠そうに見えたり、重く感じたり——。
さらに、眼瞼下垂は見た目だけでなく、
肩こり・頭痛・疲れやすさ・視界の狭さ など、体の不調にもつながります。
では、この症状で受診された場合、どのように眼瞼下垂を診断するのでしょうか?
眼瞼下垂の診断基準 : 医師が実際に見ているポイント
一般的な診察では、以下のような指標を目安にして診断しています。

↑「専門医取得に必要な形成外科手技36 下」克誠堂出版 より引用
① MRD(Margin Reflex Distance:マージン・リフレックス・ディスタンス)
▼どう測るの?(MRD-1)
瞳孔の中心と、上まぶたの縁(まつ毛の生え際付近)との距離をミリ単位で測定します。
▼何がわかるの?
目がどれくらい“開いているか”を示す、最も基本となる指標。
数字が小さいほど、黒目が隠れており、下垂が強いことを意味します。
▼目安となる数値
・正常:3.5〜5.5mm
・軽度:1.5〜2.7mm
・重度:-0.5mm以下(黒目の一部がまぶたに覆われている状態)
② 挙筋機能検査(Levator Function Test)
▼どう測るの?
1.まず、額の筋肉(前頭筋)を使わないように、医師が眉の上を軽く押さえて固定します。
2.その状態で、患者さんに最大限下を見る→最大限上を見るという動きをしてもらいます。
3.まぶたの移動距離(mm)を測定します。
▼何がわかるの?
まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の“本当の力”を評価する検査。
ここが弱いのか、皮膚がたるんでいるだけなのか、治療選択に大きく関わります。
▼目安となる数値
・正常:8mm以上
・中等度:4〜7mm
・重度:3mm以下
筋肉の力そのものが弱い場合は切開法が必要になることが多く、治療方針の判断材料になります。
③ 瞼裂高(けんれつこう:Lid Fissure Height)
▼どう測るの?
黒目(角膜)の最下端から、上まぶたの縁までの距離を測ります。
▼何がわかるの?
“実際にどれくらい目が開いて見えているか”の、見た目の開き具合の指標。
MRDと組み合わせることで、より正確に下垂の程度を判断できます。
さらに、
④ 代償サイン
というのもあります。
・おでこのシワが深い
・常に眉が上がっている
など…
これは、身体が目の開かなさを他で補おうとしているサインです。
+自覚症状として多いもの
・目が疲れる
・視界が狭い
・まぶたがまつげの上に乗る
・無理やり目を開けようとして疲れる
などもふまえ、数字と症状の両面から判断して診断されます。
それでは、治療法にはどのようなものがあるでしょうか?
ビアンカでは、主に以下の2つの方法をご提案しています。
治療① MT法(切らない眼瞼下垂治療)
MT法は、まぶたの裏側から挙筋を縫い縮め
“筋肉の引き上げ力”を強くする方法。
☑ 外から傷が目立たない
☑ ダウンタイムが短い
そんな治療です。
向いている人は
・軽度〜中等度の眼瞼下垂
・傷跡を残したくない
・二重ラインを大きく変えたくない
・自然に目力を出したい
「仕事が忙しくて長いダウンタイムが取れない」という方にも選ばれています。

治療② 眼瞼下垂切開法(皮膚切開+挙筋腱膜前転)
皮膚を切開し、まぶたの内部構造を直接見ながら
たるみ・脂肪・挙筋のゆるみをすべて改善できる方法。
上まぶたの“フルリフォーム”に近い治療です。
特徴としては
・挙筋腱膜をしっかり修復できる
・皮膚の余りや脂肪(ROOF)が多い人でも対応可
・二重のラインも同時にデザインできる
向いている人は
・中等度〜重度の眼瞼下垂
・皮膚のたるみが多い
・まぶたが厚く重い
などの症状がある方です。

結局どちらがいいの?
■ MT法が向く人
・とにかく自然に仕上げたい
・ダウンタイム少なめがいい
・軽度〜中等度の下垂
■ 切開法が向く人
・皮膚や脂肪もまとめて改善したい
・二重幅を整えたい
・しっかり目を開くようにしたい
・中等度〜重度の下垂
あなたのまぶたの厚み、脂肪量、筋肉の状態によって、ベストな治療は変わります。
切開法の方が手技的には遥かに難しくなりますが、私自身は、形成外科時代から丁寧かつ真摯に行ってまいりました。
まとめ:皮膚だけ切っても目は開かない。原因は突き止めることが重要。
「皮膚を切れば目が開く」
そんなイメージを持つ方は多いですが、
本当の原因は“挙筋の弱り(眼瞼下垂)”であることも多いです。
だからこそ、状態を正しく診断してもらい、治療を選ぶことが大切です。
まぶたの構造は十人十色。
気になる方は、ぜひ一度診察を受けてみてくださいね。
ご相談お待ちしております!

執筆者:幡手 亜梨子(はたで ありす)
形成外科専門医/美容外科医
九州大学医学部卒業後、大学病院や関連施設で形成外科・美容外科の診療に従事し形成外科専門医を取得。
顔面・体幹の再建手術から美容外科領域まで幅広い症例を経験し、解剖学的知識に基づいた自然で美しい仕上がりを大切にしています。
学生時代にはアイドルとして活動していた経験もあり、“見られる美しさ”と“医療としての美しさ”の両面を理解する立場から、患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドな美容医療を提案できるのが強み。
プライベートでは旅行とグルメが好きで、美容やライフスタイルに関する情報をInstagramで発信中。
ご予約はこちらから
60秒で予約完了 ▼
https://reservation.medical-force.com/b/d7bb811e-ebd5-4b93-93f8-588864b24f15
経歴
九州大学医学部医学科 卒業
新東京病院 初期研修
自治医科大学附属病院 形成外科 勤務
ルーチェクリニック 勤務
新小山市民病院 形成外科 勤務
帝京大学医学部附属病院 形成外科 勤務
JR東京総合病院 美容外科・形成外科 勤務
有明ひふかクリニック 勤務
所属学会・資格
日本形成外科学会 専門医
専門分野
美容外科手術(目元・フェイスライン・婦人科形成など)
注入治療(ヒアルロン酸、ボトックス、脂肪注入)
レーザー・スキン治療
再生医療・エイジングケア







