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藤橋 政尭

2025.12.27

鼻整形後に起こる「拘縮」とは?|原因・進行・治療の考え方

藤橋 政尭
監修医師
藤橋 政尭

形成外科専門医として外傷・再建・先天疾患など多くの症例に携わり、精密な手技と深い解剖学的理解を培ってきました。見た目の変化が心まで前向きにする――そんな美容の力を患者様にも届けたいという思いから美容外科の道へ。得意としているのは、目元治療全般や注入治療、たるみ治療など。患者様の理想に誠実に向き合う」という診療スタンスで、美しさにこだわった施術を提供しています。

こんにちは!

「自然な美を、信頼でデザインする。」

形成外科専門医の藤橋政尭です。

 

鼻整形後、しばらく時間が経ってから、

「鼻が硬くなってきた」「鼻先が短くなった気がする」

このような違和感を訴える方がいます。

その背景に起こっている可能性があるのが拘縮です。

拘縮は見た目だけでなく、再手術の難易度にも大きく影響する重要な問題です。

 

 

■ 拘縮とは

拘縮とは、手術後に生じた炎症や瘢痕反応によって、軟部組織が硬く縮んでしまう状態を指します。

瘢痕組織は時間とともに収縮する性質があり、これが進行すると鼻の形そのものが変化してしまいます。

特に鼻は皮膚が薄く、構造が繊細な部位であるため、拘縮の影響を受けやすい領域です。

 

 

■ 拘縮が進行したときに見られる症状

拘縮が進むと、以下のような変化が現れることがあります。

鼻先が上に引き上げられ、鼻が短く見えるいわゆるshort nose deformity

鼻全体が硬く、表情に合わせて動かなくなる感覚。

鼻尖や鼻背の皮膚が赤みを帯び、徐々に薄くなっていく変化。

場合によっては、シリコンやゴアテックスなどの人工物が透けて見えたり、露出してくることもあります。

これらは拘縮がかなり進行したサインであり、早期対応が重要です。

 

 

■ 拘縮が起こる主な原因

拘縮の背景には、いくつかの要因が重なっています。

一つは繰り返される手術による瘢痕化です。

再手術を重ねるほど正常な軟部組織は失われ、収縮力の強い瘢痕組織に置き換わっていきます。

また、術後の感染慢性的な炎症も大きな引き金になります。

目立たない小さな膿瘍や赤みが、長期的には拘縮につながることもあります。

さらに、シリコンやゴアテックスなどの人工物は、慢性的な異物反応を起こし、厚い瘢痕被膜を形成することで拘縮を助長する場合があります。

日本人を含むアジア人では、皮膚が薄い症例も多く、これらの影響を受けやすい傾向があります。

 

 

■ 初期に見られるサイン

拘縮は突然完成するものではありません。

初期には、鼻先の赤みや熱感が長引く、治らない小さな吹き出物ができる、鼻尖や鼻背に硬いしこりを触れるといった変化が見られます。

この段階で鼻が少し短くなったように感じることもあります。

早い段階で気づくことが、その後の選択肢を広げます。

 

 

■ 再発リスクと材料選び

拘縮の再発リスクは、手術方法と材料選びに大きく左右されます。

耳介軟骨や肋軟骨といった自家組織は、異物反応がなく血流再建を妨げにくいため、再拘縮のリスクは比較的低くなります。

一方で人工物は、再使用することで慢性炎症や再拘縮のリスクが高まる傾向があります。ただし、すべてが問題になるわけではありません。

 

 

■ 拘縮を防ぐための考え方

拘縮を完全にゼロにすることは困難ですが、初回手術の工夫でリスクは大きく下げられます。

過剰な剥離を避けて血流を温存すること

人工物に依存せず、できる限り自家組織で支持構造を作ること。

術後管理を徹底し、感染や慢性炎症を起こさないこと。

これらの積み重ねが、長期的な安定につながります。

 

 

■ まとめ

拘縮は、鼻整形後に時間をかけて進行する可能性のある重要な合併症です。

皮膚が硬い状態では、理想的な形を作ることは難しく、再手術のタイミングや方法の見極めが極めて重要になります。

安易な修正を繰り返すのではなく、構造と血流を重視した治療方針が、拘縮を繰り返さないための鍵になります。

 

 

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【プロフィール】

藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医

形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。

自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。

「自然な美を、信頼でデザインする。」

そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。

 

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【経歴】

2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業

2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修

2017年4月 昭和大学病院 形成外科

2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科

2019年4月 西尾市民病院 形成外科

2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科

2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科

2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科  診療科長

2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤

2024年4月 銀座TAクリニック副院長

2025年11月 BIANCA CLINIC

 

【所属学会・資格】

日本形成外科学会 形成外科専門医

日本美容外科学会(JSAPS)会員

日本美容外科学会(JSAS)会員

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