鼻中隔延長術とは?|鼻先の「形」ではなく「土台」を再構築する手術
こんにちは!
「自然な美を、信頼でデザインする。」
形成外科専門医の藤橋政尭です。

鼻整形を検討していると、「鼻中隔延長」という言葉を目にすることがありますが、具体的にどのような手術なのか分かりにくいと感じる方も多いと思います。
鼻中隔延長術とは、鼻先の形を直接作る手術ではなく、鼻を支える構造=土台を再構築するための手術です。
鼻先は、皮膚や軟部組織だけで形が保たれているわけではありません。
内部には大鼻翼軟骨や鼻中隔軟骨といった骨格構造があり、その支えが弱い状態で形だけを整えると、時間の経過とともに変形や不安定さが生じやすくなります。
鼻中隔延長術は、この「土台そのもの」にアプローチする手術です。

引用元:『鼻形成術 初版』(株式会社三恵社 2017年) p.246 図11-37を一部改変して掲載
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■ 鼻中隔延長術の基本的な考え方
鼻中隔延長術は、英語でSeptal Extension Graft(SEG)と呼ばれます。
鼻中隔軟骨(左右の鼻を仕切る軟骨)の先端や側方に軟骨を移植し、鼻先の位置・向き・支持性を立体的にコントロールできる土台を作ります。
重要なのは、「どの方向に」「どの位置で」「どれくらい安定させたいか」を構造的に設計できる点です。
鼻先のデザインは、単に高さを出すことや細くすることでは決まりません。
重要なのは、鼻先をどの方向に、どれだけ延長し、それを支える構造に十分な支持性と安定性があるかどうかです。
延長量が過剰であったり、支持構造が弱い状態で高くしすぎると、鼻先は傾いたり不安定になりやすくなります。
そのため、軟骨構造だけでなくエンベロープ(皮膚・軟部組織)とのバランスを考慮した設計が不可欠です。

引用元:『鼻形成術 初版』(株式会社三恵社 2017年) p.248 図11-39を一部改変して掲載
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■ 鼻中隔延長術を選択する主なケース
鼻中隔延長術は、次のような場合に検討されます。
・鼻先の位置や向きを明確にコントロールしたい
・鼻尖形成のみでは構造的な安定性が不十分と判断される
・過去の手術により大鼻翼軟骨が損傷している
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■ このような方に向いています
・しっかり高さを出し、後戻りさせたくない方
・鼻中隔軟骨が小さく、鼻翼軟骨が左右に開いている方
・鼻孔が逆三角形で、鼻孔上縁が平坦な方
・長期間L型プロテーゼを入れていた影響で鼻先が変形している方
・複数回の鼻手術で鼻翼軟骨の形態が崩れている方
・鼻先の位置や角度の安定性を重視したい方
・エンベロープ(皮膚・軟部組織)の余裕があまりない方
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■ 鼻中隔延長術が適さない場合
一方で、すべての方に鼻中隔延長が適しているわけではありません。
鼻中隔の強い弯曲がある場合や、過去に鼻中隔手術・延長術を受けている場合は、再度の延長が可能かどうか慎重な判断が必要です。
術前に十分な検査と構造評価が不可欠となります。
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■ CTで構造を確認する重要性
鼻中隔延長では、支点となる鼻中隔がまっすぐであることが非常に重要です。
歪んだ状態で延長すると、支点ごと傾いたまま固定され、鼻先の曲がりにつながる可能性があります。
そのため術前にCTで骨・軟骨の状態を確認し、構造的に問題がないかを把握します。
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■ まとめ
鼻中隔延長は、鼻先の形を作る手術ではありません。
鼻先の位置・向き・安定性を支える構造を再構築する手術です。
時間が経っても崩れにくく、表情の中でも自然に見える鼻を目指すための、非常に重要な選択肢といえます。
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【プロフィール】
藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医
形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。
自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。
「自然な美を、信頼でデザインする。」
そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。
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【経歴】
2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業
2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修
2017年4月 昭和大学病院 形成外科
2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科
2019年4月 西尾市民病院 形成外科
2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科
2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科
2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科 診療科長
2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤
2024年4月 銀座TAクリニック副院長
2025年11月 BIANCA CLINIC
【所属学会・資格】
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本美容外科学会(JSAS)会員







