鼻柱下降術とは?|「鼻柱下降術」と「鼻中隔延長」の違い
こんにちは!
「自然な美を、信頼でデザインする。」
形成外科専門医の藤橋政尭です。

鼻の整形を検討している中で、「鼻柱下降術」と「鼻中隔延長」の違いが分からず迷ってしまう方は少なくありません。
どちらも鼻先の印象を整える手術として語られることが多いため、違いが曖昧なまま施術を選んでしまうと、「思っていた変化と違う」と感じる原因になります。
鼻の印象は、鼻筋や高さだけで決まるものではなく、正面と横顔、それぞれのバランスによって大きく左右されます。
その中で重要になるのが、鼻柱の位置関係が影響するACRと鼻唇角という指標です。
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■ 鼻柱下降とは
鼻柱下降とは、その名の通り鼻柱の位置を下方向に整えることで、鼻先と口元のバランスを改善する考え方です。

鼻柱が短いと、正面から見た際に鼻の穴が強調され、鼻が横に広く見えやすくなります。
鼻柱が適切に見える位置にくることで、鼻と中顔面のバランスが整い、鼻全体が縦に伸びたような印象になります。
変化量は控えめでも、顔全体の印象に与える影響は決して小さくありません。
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■ ACRと正面から見た鼻のバランス
正面から見た鼻のバランスを考えるうえで重要なのが、ACR(Alar-Columellar Relationship)です。


引用元:『美容外科手術手技 鼻形成術 第1版』(克誠堂出版株式会社 2012年) p.15,18 図を一部改変して掲載
ACRとは、小鼻(Alar)と鼻柱(Columella)の相対的な位置関係を指します。
理想的なACRでは、正面から見た際に鼻柱が小鼻のラインよりわずかに下に位置し、下向きの三角形を描きます。
鼻柱が小鼻と同じ高さ、もしくは上にある場合、小鼻の大きさや垂れ下がりが強調され、バランスが悪く見えます。
鼻柱下降は、このACRを整えることで、正面から見たときの鼻のバランスを改善する役割を担います。
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■ 鼻唇角と横顔のバランス
一方、横顔のバランスを評価する際に重要なのが鼻唇角です。

引用元:『美容外科手術手技 鼻形成術 第1版』(克誠堂出版株式会社 2012年) p.18 図を一部改変して掲載
鼻唇角とは、鼻柱の付け根と上口唇を結んだときにできる角度のことで、この角度が適切(90〜95°)であるほど、横顔は整って見えます。
鼻柱が短いと、この角度が浅くなり、人中が長く見えたり、口元が強調されてしまうことがあります。
鼻柱を下方向に整えることで、鼻唇角が改善され、正面も横顔の印象も自然に整います。
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■ 鼻柱下降術とは
鼻柱下降術は、耳介軟骨などを鼻柱部分に移植し、鼻柱の位置を下げる手術です。
鼻先を強く前に出す手術ではなく、「見え方」や「位置関係」を調整することで、正面と横顔のバランスを整えることを目的としています。
構造を大きく作り替える手術ではないため、触り心地は比較的柔らかさを保ちやすく、変化も自然です。
ACRと鼻唇角、両方に作用する点が、この手術の特徴といえます。
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■ 鼻中隔延長との関係
鼻中隔延長は、鼻筋から鼻先を支える鼻中隔に軟骨を追加し、鼻の軸そのものを再構築する手術です。
鼻先を高くしたり前に出した結果、自然と鼻柱が下降して見えるケースもあります。
また、鼻柱下降を意図して、鼻中隔延長で軟骨の配置を工夫する場合もあります。
ただし、鼻中隔延長はあくまで構造を作る手術であり、鼻柱下降とは目的とアプローチが異なります。
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■ 鼻柱下降術と鼻中隔延長の違い
鼻柱下降術は、鼻柱の位置を調整することで、ACRや鼻唇角を整える「バランス調整の手術」です。
一方、鼻中隔延長は、鼻の骨組みを作り直す「構造的な手術」と位置づけられます。
どちらが優れているという話ではなく、鼻の状態や求める変化に応じて役割が異なります。
必要以上に構造をいじらず、最小限の操作で調和を取ることが重要です。
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■ まとめ
鼻柱下降を考えるうえでは、ACRによる正面のバランスと、鼻唇角による横顔のバランスの両方を理解することが欠かせません。
鼻柱下降術は、これらを整えるための有効な選択肢の一つです。
鼻先だけを見るのではなく、鼻全体の位置関係と構造を理解したうえで術式を選ぶことが、自然で満足度の高い鼻整形につながります。
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【プロフィール】
藤橋 政尭 (ふじはし まさたか)/形成外科専門医
形成外科専門医としての知識と技術を活かし、目元や鼻の手術、顔の脂肪吸引、糸リフト、ヒアルロン酸注入など、お顔全体の美容外科手術に幅広く対応。繊細なデザインが求められる切開手術や修正手術から、ダウンタイムの少ない注入施術・リフト系まで、患者様の理想に合わせた施術を心がけています。
自然な仕上がりとダウンタイムの最小化にこだわり、誠実なカウンセリングを通じて「任せてよかった」と思っていただける医療を追求しています。
「自然な美を、信頼でデザインする。」
そんな想いを大切に、日々の診療に取り組んでいます。
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【経歴】
2015年3月 昭和大学医学部医学科 卒業
2015年4月 昭和大学横浜市北部病院 初期臨床研修
2017年4月 昭和大学病院 形成外科
2017年10月 前橋赤十字病院 形成外科/美容外科
2019年4月 西尾市民病院 形成外科
2020年4月 昭和大学藤が丘病院 形成外科
2020年11月 太田西ノ内病院 形成外科/美容外科
2022年7月 東京労災病院 形成外科/美容外科 診療科長
2022年7月 R.O.clinic 非常勤、くさのたろうクリニック非常勤
2024年4月 銀座TAクリニック副院長
2025年11月 BIANCA CLINIC
【所属学会・資格】
日本形成外科学会 形成外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS)会員
日本美容外科学会(JSAS)会員







