コラム
2026.10.22
Vトーンとは?骨盤底筋を腟内から刺激するEMSの仕組みと効果
一般産婦人科において、不妊治療や周産期医療などの保険診療に従事したのち、自身の闘病経験を機に、「女性が女性であることを楽しめる人生を支えたい」との思いから、自由診療・婦人科美容へとキャリアを展開しました。現在も産婦人科医として保険診療に携わりながら、深い解剖学的知識と技術を軸に、婦人科形成や腟育®注射、腟ヒアルロン酸注入など、“本物のフェムテック”を通じて女性の健康課題に医学的エビデンスに基づいて向き合っています。
また、性教育の普及やHPVワクチンの啓発、女性のQOL向上に関わる社会活動にも尽力しています。専門書『美容外科医になったら最初に読む 美容手術の基本』では、第7章「腟ヒアルロン酸注入」を執筆するなど、医療知識の啓蒙にも積極的に取り組んでいます。

くしゃみをしたときの尿漏れ、入浴後のお湯漏れ、腟のゆるみ感。「出産や年齢のせいかな」と感じても、なかなか人には相談しにくいですよね。
こうした変化には骨盤底筋が関係する場合もあります。今回はBIANCA CLINICで提供するVトーンについて、腟内から筋肉を刺激する仕組みや期待できる効果、研究結果を解説します。
Vトーンとはどのような施術ですか?
Vトーン(VTone)は、腟内の専用チップから電気刺激を与え、骨盤底筋を収縮させるEMS施術です。
エンパワーRFの中でも筋肉に働きかけるハンドピース
エンパワーRF(EmpowerRF)は、施術の目的に応じてハンドピースを使い分けられる、InMode社の複合医療機器です。
ビアンカクリニックでは、マイクロニードルRFで腟壁に働きかける「モフィウス8V」、RF(高周波)で腟や外陰部を加熱する「フォーマV」、EMS(電気的筋肉刺激)で骨盤底筋を収縮させる「Vトーン」の3つを取り扱っています。

Vトーンは、腟壁を熱で引き締めるのではなく、筋肉の働きにアプローチする点が特徴です。
それぞれの仕組みや期待できる効果の違いについては、「エンパワーRFとは?」で詳しく解説しています。
腟内から直接刺激することで、筋肉を動かす感覚をつかむ
Vトーンでは、専用チップから電気刺激を与え、骨盤底筋の収縮と弛緩を繰り返します。刺激の強さは調整可能です。
自宅での骨盤底筋体操では、お腹やお尻に力が入ってしまう方も。Vトーンは収縮する感覚をつかみ、正しいトレーニングを理解する助けになります。
Vトーンで骨盤底筋を鍛えると、どのような効果が期待できますか?
Vトーンは骨盤底筋の働きをサポートし、尿漏れや腟のゆるみ感の改善を目指します。
くしゃみや運動時の尿漏れへのアプローチ
骨盤底筋は骨盤の底で膀胱・子宮・直腸を支え、排泄や体幹の安定に関わる筋肉です。

尿を我慢するときには収縮し、排尿するときには緩むなど、状況に応じて適切に働くことが大切。筋力が弱いだけでなく、過度に緊張してうまく緩められないことが、不調につながる場合もあります。
くしゃみや運動などで尿が漏れる腹圧性尿失禁には、骨盤底筋や尿道を支える組織の機能低下が関係します。日本の研究をまとめた報告では、40~60歳前後の女性の14.0%に、週数回以上の尿失禁が認められました[1]。
Vトーンは、腹圧性尿失禁だけでなく、急な尿意で漏れる切迫性尿失禁、両方の特徴を持つ混合性尿失禁にもアプローチする施術です。
ただし、尿漏れの原因は異なるため、症状や骨盤底筋の状態に応じて適切な方法を検討します。
腟のゆるみ感へのアプローチ
骨盤底筋は腟の周囲を支え、腟を締める動きにも関わっています。出産や加齢などによって筋肉の働きが弱まると、以前より腟の締まりが弱くなったと感じることがあります。
Vトーンは、EMSによって骨盤底筋の収縮を繰り返し促し、筋肉の働きをサポートする施術です。骨盤底筋の機能低下が関係する腟のゆるみ感に対して、改善を目指します。
ただし、腟壁そのもののゆるみや支持組織の変化を直接改善するものではないため、状態によっては別のアプローチが必要です。
Vトーンの骨盤底筋トレーニングに研究上の裏付けはある?
腟内への電気刺激は、骨盤底筋のリハビリテーションで研究されている方法です。
2022年の海外研究では、自力で骨盤底筋をうまく収縮させられない女性64人を調査。8週間の腟内電気刺激を受けた群では36%が自力で筋肉を収縮できるようになり、刺激を受けなかった群では12%でした。[2]
Vトーンとは別の機器による結果ですが、腟内への電気刺激が、骨盤底筋を自分の意思で動かせるようになる助けとなる可能性を示しています。
また、2024年には尿漏れのある女性31人にVトーン、フォーマV、骨盤底筋の使い方の指導を組み合わせた海外研究が報告されています。
3回の施術後、3ヶ月時点で82%が尿漏れ症状の改善を実感したと回答。さらに、咳をしたときの尿漏れ量や、尿漏れによる日常生活への影響を評価する指標でも改善が認められました[3]。
ただし、複数の方法を組み合わせた研究のため、Vトーン単独の効果を示した結果ではありません。
Vトーンのメリット・デメリットは何ですか?
Vトーンのメリットは、切開や針を使わず、意識しにくい骨盤底筋のトレーニングをサポートできることです。一方、継続的な施術が必要になる場合があり、電気刺激による違和感が生じることもあります。

メリット|骨盤底筋を動かす感覚をつかみやすい
Vトーンのメリットは、自分で力を入れなくても骨盤底筋の収縮を促せることです。
骨盤底筋は目に見えないため、自宅でトレーニングをしていても、正しく動かせているのか分からない方も少なくありません。
Vトーンでは電気刺激によって筋肉が収縮するため、骨盤底筋を動かす感覚をつかみやすくなります。施術で得た感覚を日常の骨盤底筋体操にも生かせる点も利点です。
また、切開や針を使用せず、基本的に麻酔も不要。刺激の強さを調整しながら施術できるため、痛みや刺激への不安がある方も相談しながら進められます。
デメリット|複数回の施術と適応の確認が必要
Vトーンは骨盤底筋のトレーニングを目的とするため、複数回の施術を推奨しています。
ビアンカクリニックでは、最初の2週間は週2回程度、その後は4週間に1回程度を目安に施術を行います。定期的な通院が必要になるため、生活の予定に合わせて施術計画を立てることが大切です。
また、電気刺激による不快感や一時的な痛みが生じる可能性があります。妊娠中やペースメーカー装着中、感染症がある方は施術を受けられません。
Vトーンに関するよくある質問
受診前によくある疑問にお答えします。
Q. Vトーンは痛いですか?麻酔は必要ですか?
A. Vトーンは麻酔を使用せずに行う施術で、基本的に強い痛みはありません。
施術中は電気刺激によって筋肉が収縮する感覚がありますが、刺激の強さは調整可能です。痛みや不快感がある場合は、無理をせずスタッフへお伝えください。
Q. お風呂上がりのお湯漏れにも効果がありますか?
A. 骨盤底筋の筋力低下がお湯漏れに関係している場合、Vトーンも改善を目指す選択肢となることがあります。
お湯漏れは、腟内に入ったお湯が後から出てくる現象です。骨盤底筋のほか、腟の形状や腟壁の状態も関係するため、原因を確認したうえで適切な施術を検討します。
Q. デリケートゾーンの乾燥・かゆみ・臭いも改善しますか?
A. Vトーンは骨盤底筋への施術で、保湿や臭いの改善を目的とするものではありません。ヒリヒリする痛みやかゆみ、臭いがある場合は、乾燥やかぶれ、感染症などの原因を確認します。
Q. 性交時や骨盤周辺が痛い場合にも受けられますか?
A. 筋肉の緊張や痛みの原因によっては、骨盤底筋をさらに収縮させることが適さない場合があります。まず診察で状態を確認し、必要に応じて筋肉を緩めるケアなどを検討します。
Q. 生理中でも受けられますか?
A. ビアンカクリニックでは生理中のVトーン施術は行っていません。予約日と重なりそうな場合は、日程変更をご相談ください。
Q. Vトーンは痛いですか?麻酔は必要ですか?
A. Vトーンは麻酔を使用せずに行う施術で、基本的に強い痛みはありません。施術中は電気刺激によって筋肉が収縮する感覚がありますが、刺激の強さは調整可能です。痛みや不快感がある場合は、無理をせずスタッフへお伝えください。
Q. お風呂上がりのお湯漏れにも効果がありますか?
A. 骨盤底筋の筋力低下がお湯漏れに関係している場合、Vトーンも改善を目指す選択肢となることがあります。お湯漏れは、腟内に入ったお湯が後から出てくる現象です。骨盤底筋のほか、腟の形状や腟壁の状態も関係するため、原因を確認したうえで適切な施術を検討します。
Q. デリケートゾーンの乾燥・かゆみ・臭いも改善しますか?
A. Vトーンは骨盤底筋への施術で、保湿や臭いの改善を目的とするものではありません。ヒリヒリする痛みやかゆみ、臭いがある場合は、乾燥やかぶれ、感染症などの原因を確認します。
Q. 性交時や骨盤周辺が痛い場合にも受けられますか?
A. 筋肉の緊張や痛みの原因によっては、骨盤底筋をさらに収縮させることが適さない場合があります。まず診察で状態を確認し、必要に応じて筋肉を緩めるケアなどを検討します。
Q. 生理中でも受けられますか?
A. ビアンカクリニックでは生理中のVトーン施術は行っていません。予約日と重なりそうな場合は、日程変更をご相談ください。
Vトーンは骨盤底筋の働きから日常の悩みに向き合う施術
尿漏れや腟のゆるみ感、骨盤周辺の痛みは、原因が1つとは限りません。
ビアンカクリニックでは、診察や腟圧測定などを通じて状態を確認し、Vトーンのほか、座って骨盤底筋を刺激するCORE ONEや、骨盤周辺の痛みに着目したアルマデュオなど、目的の異なる選択肢も検討します。
筋肉を鍛えることが必要なのか、それとも緊張を緩めることが大切なのか。骨盤底筋の状態によって適切なアプローチは異なるため、症状だけで判断しないことを私は大切にしています。
BIANCA CLINICでは、女性のみの医師とスタッフがフェムゾーンのご相談をお受けしています。気になる変化があれば、気軽にお話しください。
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参考文献
[1] 喜多村定子, 長弘千恵, 津川恵子. わが国の中高年女性尿失禁の頻度と自己対応に関する日本語文献の検討. 日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌. 2020