コラム
2026.08.28
ダキシファイとレルフィデスの違いとは?長期持続型ボトックスの特徴・持続期間・即効性を医師が徹底比較
「病気を治す」こと以上に、「人生をより豊かに、美しくする」お手伝いがしたいという想いから美容医療の道へ。得意施術は、ヒアルロン酸・ボトックス・糸リフト。その人らしさや上品で自然な美しさを引き出す施術を提供しています。皮膚科だけでは改善が難しい目元の悩みにも外科手術で対応し、皮膚科と外科の融合でトータルに顔のバランスを整えます。3度の海外留学経験があり、英語での診療にも対応可能です。

「ボトックスの効果をもっと長持ちさせたい」
「3〜4ヶ月おきに通うのが大変だから、年2回くらいの通院でキープしたい」
表情ジワの改善やエラ(小顔治療)をはじめ、定期的な美容メンテナンスとして定着したボツリヌストキシン注射。しかし、従来の製剤では「持続期間が3〜4ヶ月程度」であることが多く、定期的な通院負担やコストに悩まれる方も少なくありません。
そうした中、海外を中心に大きな注目を集めているのが「長期持続型ボトックス」と呼ばれる次世代の製剤群です。
その代表格として比較されるのが、ペプチド技術によって約6ヶ月の持続を可能にした「ダキシファイ(DAXXIFY®)」と、ガルデルマ社が開発した希釈不要のリキッド製剤「レルフィデス(Relfydess®)」。
どちらも「長期持続型ボトックス」としての側面を持ちながら、「いつから効き始めるか(即効性)」「製剤の安定化設計」「適した部位」には明確な違いがあります。
今回は、ダキシファイとレルフィデスの違いについて、公表されている臨床試験データや論文をもとに、成分設計・持続性・効果発現スピード・適応部位の観点から医師が分かりやすく解説します。
ダキシファイ(DAXXIFY®)とレルフィデス(Relfydess®)の基本概要
まずは、2つの長期持続型ボトックスがどのような背景と特徴を持っているのか、基本スペックを整理します。
ダキシファイ(DAXXIFY®)とは
米国Revance Therapeutics社が開発したA型ボツリヌストキシン製剤(一般名:daxibotulinumtoxinA-lanm)です。
従来の製剤で使われていたヒト血清アルブミンや動物由来成分を一切排除し、独自の合成ペプチド(RTP004)を安定化剤として配合しています。米国FDA(食品医薬品局)の承認を取得しており、「約6ヶ月持続する長期持続型ボトックス」の先駆けとして知られています。また、ペプチドの作用により施術部位のキメやツヤが整う「Daxxify Glow」も海外で話題を集めています。
レルフィデス(Relfydess®)とは
大手美容医療メーカー・ガルデルマ(Galderma)社が開発した新規の液状ボツリヌストキシン製剤(一般名:relabotulinumtoxinA)です。
従来の粉末を生理食塩水で溶かす工程をなくした「Ready-to-use(調剤・希釈不要)」のリキッド製剤で、同社独自の「PEARL™テクノロジー」を採用しています。ヨーロッパ等で承認されており、「最大約6ヶ月の長期持続」と「最短翌日から実感できる即効性」を兼ね備えた最新の長期持続型ボトックスです。
【一覧比較】ダキシファイとレルフィデスの違い
長期持続型ボトックスを検討する上で知っておくべき主要スペックをまとめました。
| ダキシファイ(DAXXIFY®) | レルフィデス(Relfydess®) | |
| 開発元 | Revance Therapeutics(米国) | Galderma(スイス/グローバル) |
| 製剤タイプ | 凍結乾燥粉末(要溶解) | 液状製剤(Ready-to-use / 希釈不要) |
| 安定化・製造技術 | 独自合成ペプチド(RTP004) | PEARL™ テクノロジー |
| 生体由来成分 | ヒト血清アルブミン・動物由来フリー | アルブミンフリー |
| 効果発現(いつから効くか) | 2〜3日後〜(1〜2週間でピーク) | 最短翌日(Day 1)〜数日 |
| 臨床試験での持続期間 | 中央値で約24週(約6ヶ月) | 最大約6ヶ月(臨床試験READY) |
| 投与単位(ユニット数) | 独自規格(ボトックスの約2倍表記) | 独自規格(Speywood単位系に近い設計) |
| 最大の強み | ペプチド吸着による強固な持続力・ツヤ感 | 希釈誤差ゼロの精密注入と立ち上がりの速さ |
| 国内承認状況 | 未承認(自由診療) | 未承認(自由診療) |
医師が解説する「決定的な4つの違い」
どちらも「長期持続型ボトックス」に位置づけられますが、アプローチする強みは大きく異なります。
1. 効果発現スピードの違い:即効性のレルフィデス
・レルフィデスは「最短翌日」から効果を実感:
第3相臨床試験(READY-1試験)において、投与後24時間(1日目)の時点で最大39%の患者様がシワの改善効果を実感したと報告されています。「大事な撮影やイベント、挙式が数日後に迫っているけれど、長持ちもさせたい」というニーズに応えられる即効性が最大の武器です。
・ダキシファイは通常ペースの立ち上がり:
従来のボトックス同様、効果が現れ始めるまでに2〜3日、安定するまでに1〜2週間程度かかります。
2. 製剤設計の違い:ペプチド結合 vs 希釈不要リキッド
・ダキシファイのペプチド技術(RTP004):
正電荷を持つペプチドが有効成分を包み込み、神経筋接合部に強力に吸着します。狙った部位に成分がしっかり留まるため、長期持続型ボトックスとしての安定した作用期間を実現します。
・レルフィデスのPEARL™技術(液状製剤):
最初から均一な液体としてバイアルに充填されているため、用事溶解による「濃度ムラ」や「泡立ち(タンパク変性)」のリスクが完全に排除されています。常に一定の薬液濃度で、ミリ単位の繊細なマイクロインジェクションが可能です。
3. 投与単位(ユニット数)と換算の考え方
「これまでのボトックスと同じ単位数で打つのか?」という疑問をよくいただきますが、長期持続型ボトックスは製剤ごとに規格が異なります。
・ダキシファイ: アラガン社製ボトックスの約2倍のユニット表記(例:ボトックスで20単位の部位なら約40単位)となります。
・レルフィデス: ガルデルマ社独自の力価設定がされており、こちらもボトックスと単純に1:1換算はできません。
※そのため、治療にあたっては「何単位打つか」の数値にとらわれるのではなく、医師が患者様の筋肉の容積や動きに合わせて適正量をどう見極めるかが極めて重要になります。
4. 抗体形成(耐性)リスクへの配慮
長期持続型ボトックスを選ぶメリットの一つが、将来的な「効きにくさ(耐性)」への配慮です。従来の製剤に含まれていた複合タンパク質(ヒト血清アルブミン等)を排除したアルブミンフリー設計のため、定期的に治療を継続しても中和抗体が作られにくい構造になっています。
お悩み・部位別:あなたに向いている長期持続型ボトックスは?
患者様のお悩みやライフスタイルによって、選ぶべき製剤は分かれます。

ダキシファイ(DAXXIFY®)が向いている方・部位
・エラ(咬筋)の小顔治療:
咬筋のような大きな筋肉をしっかり小さく保ちたい場合、年2回程度の通院ペースで持続できるダキシファイの持続力>が非常に適しています。
・通院回数を年に1〜2回に減らしたい方:
忙しくて3〜4ヶ月おきのメンテナンスが難しい方。
・表情ジワの改善とともに肌のハリ・ツヤ(Daxxify Glow)を求める方:
ペプチドの恩恵によるキメや毛穴の引き締まりを同時に実感したい方。
レルフィデス(Relfydess®)が向いている方・部位
・直近のイベントまでに早くシワを改善したい方:
数日〜1週間以内に効果を出したいタイトなスケジュールがある方。
・額・眉間・目尻などの繊細な表情ジワ:
希釈ムラのない均一な液状製剤のため、広がりすぎず狙ったピンポイントの筋肉だけを正確に効かせたい部位に適しています。
・リップフリップ(人中短縮風ボトックス)やガミースマイル:
口元のデリケートな筋肉の動きを、違和感なく自然にコントロールしたい微細なデザイン調整。
痛み・副作用・長期持続型ならではの注意点
施術時の痛みについて
針を刺す際のチクッとした痛みや注入時の圧迫感は、従来のボトックスと基本的に変わりません。当院では麻酔クリームや極細針、クーリング(冷却)を用い、痛みを最小限に抑えて施術を行います。
副作用とリスク
・一般的な症状:
内出血、赤み、腫れ、軽度の頭痛などが生じる場合がありますが、通常は数日〜1週間程度で落ち着きます。
・「効きすぎ」のリスクとデザインの重要性:
長期持続型ボトックスは「効果が約6ヶ月続く」というメリットがある反面、万が一「まぶたが重くなった(眼瞼下垂)」「表情がこわばった」といった状態になった場合、その不自然な状態も長引いてしまうリスクを意味します。
だからこそ、長期持続型ボトックスの施術には、一般的なボトックス以上に医師の正確な解剖学知識と注入技術が不可欠です。
施術後のアフターケア
・注入直後は患部を強く揉んだり、エステやマッサージを受けたりしないでください(薬剤が周囲の筋肉へ拡散するのを防ぐため)。
・当日の激しい運動、長風呂、サウナ、過度の飲酒はお控えください。
ビアンカクリニックが考える「長期持続型ボトックス」治療
長期持続型ボトックスの登場により、患者様の選択肢や利便性は大きく向上しました。しかし、ビアンカクリニックでは「長持ちするから誰にでも長期持続型ボトックスを打てばいい」とは考えていません。
ボツリヌストキシン治療において最も重要なのは、製剤の種類以上に「どの深さの、どの筋肉に、どれだけの量を注入するか」という医師のデザイン力です。
- 表情を作ったときの筋肉の連動や左右差
- 皮膚の厚みやたるみの程度
- 初めて受ける部位なのか、過去にも受けているのか
- 患者様が目指す「自然な表情の残し方」
これらを総合的に診断したうえで、定番のアラガン社製ボトックスビスタをはじめ、長期持続型のダキシファイやレルフィデスの中から、患者様にとって最も美しく、安全な選択肢をご提案いたします。
よくある質問

Q. ダキシファイとレルフィデスは、どちらの方が長持ちしますか?
A. どちらも臨床データ上は「最大約6ヶ月」と報告されていますが、持続のアプローチが異なります。
ダキシファイは独自の合成ペプチド技術により、有効成分が患部に強固に留まることで中央値で約24週(約6ヶ月)の持続が確認されています。一方のレルフィデスも臨床試験において最大約6ヶ月の持続が示されていますが、こちらは「最短翌日からの即効性」と「約6ヶ月の持続」のバランスを強みとしています。
持続力を最優先にしたいのか、即効性も兼ね備えたいのかによって適した製剤が分かれます。
Q. レルフィデスは本当に翌日から効果が出ますか?
A. 臨床試験では約39%の方が投与後24時間(翌日)でシワの改善を実感しています。
従来のボツリヌストキシン製剤は効果の実感までに2〜3日、安定するまでに1〜2週間ほどかかりますが、レルフィデスは希釈不要の独自リキッド製剤(PEARLTM技術)を採用しているため、立ち上がりが極めて早い(最短翌日)のが大きな特徴です。ただし、効果の現れ方には個人差があり、投与量や筋肉の強さによっても数日かかる場合があります。
Q. エラ(小顔)の治療にはどちらが向いていますか?
A. 咬筋のような大きな筋肉を長期間小さく保ちたい場合は、ダキシファイが特に適しています。
エラボトックスは3〜4ヶ月ごとに戻ってしまうと通院の手間がかかりますが、約6ヶ月持続するダキシファイであれば年1〜2回程度のメンテナンスでスッキリとしたフェイスラインをキープしやすくなります。
一方、急なイベントや前撮りに向けてフェイスラインを整えたい場合は、立ち上がりの早いレルフィデスも選択肢に入ります。
Q. これまで普通のボトックスを打っていましたが、途中で変えても大丈夫ですか?
A. 問題ありません。前回の施術から適切な期間(通常3〜4ヶ月以上)を空ければ切り替えが可能です。
「これまでの製剤だと3ヶ月程度で効果が切れてしまう」「もっと長持ちさせたい」という理由から、長期持続型ボトックスへ変更される患者様は多くいらっしゃいます。
ただし、製剤ごとに単位(ユニット)の規格や薬液の拡散性が異なるため、医師が前回の効果の出方や現在の筋肉の動きを確認した上で注入量を精密に調整します。
Q. 長期持続型ボトックスは、将来的に効かなくなる(耐性がつく)心配はありませんか?
A. 従来の製剤に比べて、耐性(抗体形成)のリスクが低くなるよう設計されています。ボツリヌストキシンが効かなくなる原因の一つは、製剤に含まれる複合タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)に対して体が抗体を作ってしまうことです。
ダキシファイもレルフィデスも、このアルブミンを一切含まない(アルブミンフリー)設計になっているため、定期的に長く治療を続けたい方にとっても安心感の高い製剤です。
Q. 万が一、効きすぎて不自然になった場合は戻せますか?
A. ボツリヌストキシンの効果を即座に完全に消す特効薬はありません。だからこそ初回は控えめな注入をおすすめします。
神経と筋肉の接合部に作用するため、一度効いた効果は自然に代謝・減弱するのを待つ必要があります。長期持続型ボトックスは効果が約6ヶ月続くため、効きすぎた状態も長引いてしまうリスクがあります。
ビアンカクリニックでは、表情のこわばりや不自然さを防ぐため、患者様の表情筋のクセや左右差を緻密に見極め、必要に応じて微量から調整する繊細な注入を行っています。
まとめ:違いを理解して、自分に最適な製剤選びを
ダキシファイ(DAXXIFY®): 独自ペプチドによる「約6ヶ月の持続力」と「ハリツヤ感」。通院回数を減らしたい方や、エラなどの大きな筋肉におすすめの長期持続型ボトックス。
レルフィデス(Relfydess®): 希釈不要リキッドによる「最短翌日の即効性」と「最大約6ヶ月の持続」。スピード感を求める方や、繊細な表情ジワの微細調整におすすめの長期持続型ボトックス。
従来のボトックスで「持続期間が物足りない」「通院が面倒」と感じていた方にとって、長期持続型ボトックスは非常に有力な選択肢です。
ご自身のお顔立ちやお悩みにどちらの製剤がマッチするか、ぜひ一度ビアンカクリニックのカウンセリングへご相談ください。お一人おひとりの骨格・筋肉を見極め、自然で洗練された仕上がりをご提案いたします。
参考文献・公式情報(エビデンスリンク)
ダキシファイ(DAXXIFY®)臨床試験データ(SAKURA 1 & 2):
Carruthers JD, et al. DaxibotulinumtoxinA for Injection has a prolonged duration of response in the treatment of glabellar lines: Pooled data from two multicenter, randomized, double-blind, placebo-controlled, phase 3 studies (SAKURA 1 and SAKURA 2). J Am Acad Dermatol. 2020.
レルフィデス(Relfydess®)臨床試験データ(READY-1):
Efficacy and Safety of RelabotulinumtoxinA, a New Ready-to-Use Liquid Formulation Botulinum Toxin: Results From the READY-1 Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Phase 3 Trial in Glabellar Lines. Aesthetic Surgery Journal. 2024.
レルフィデスのPEARL™技術・即効性と持続性に関する公式発表:
Galderma Official News: Clinical updates on Galderma’s leading neuromodulator portfolio further reinforce its leadership in Injectable Aesthetics (Relfydess