老化の原因が酸化って本当?先進の研究をBIANCA美容内科医が解説
こんにちは。
BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)美容内科医の前田陽子です。
「老化の原因=酸化」と聞いたことはありませんか?
活性酸素や抗酸化といった言葉には、悪い印象を抱きがちですが、近年の研究では、酸化そのものが老化のおもな原因ではないという見方が広がっています。
活性酸素とは?
活性酸素とは、体内で酸素が代謝される過程で生じる、反応性の高い酸素分子のこと。
通常は体の防御やエネルギー産生にも使われていますが、増えすぎると細胞を傷つける原因になります。
酸化ストレスは細胞を傷つけ、動脈硬化や一部のがん、生活習慣病のリスクを高めることが知られています。
ただし、“酸化=老化”というのはやや単純化しすぎた考え方かもしれません。
酸化と老化の関係 ― これまでの仮説
かつては「酸化が老化を進める」という考え方が主流でした。
その根拠は、次のような観察に基づいています。
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カロリー制限を行うと酸化ストレスが低下し、寿命が延びる傾向がある
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長寿の動物ほど酸化ストレスが低い
このことから、酸化ストレスを抑えれば老化も遅らせられるのでは?という仮説が広く受け入れられてきたのです。
老化の原因について先進の研究でわかったこと
近年では、酸化ストレスと老化の関係に“距離”があることがわかってきています。
たとえば、酸化ストレスを高めるように調整したマウスや、酸化されたタンパク質を修復できるように改変されたマウスを観察しても、寿命にはほとんど変化が見られなかったという報告が複数あります。
つまり、健康な状態での老化には酸化ストレス以外の要因が大きく関係していると考えられるようになってきたのです。
抗酸化物質の役割と限界
もちろん、酸化ストレスがすべて無害というわけではありません。
動脈硬化や生活習慣病のリスクを下げるうえで、ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10などの抗酸化物質は有効に働きます。
ただし、「老化を防ぐために抗酸化サプリを飲む」という考え方は、科学的にはまだ明確な根拠が得られていません。
抗酸化物質は、あくまで体のバランスを整えるサポート役として取り入れるのが良いでしょう。
まとめ:老化の原因のひとつは酸化、しかし“全て”ではない
酸化ストレスは確かに身体に影響を与えますが、老化を左右するのはそれだけではありません。
ホルモンバランス、遺伝子の変化、細胞再生力、代謝低下など、複数の要因が複雑に関係しています。
抗酸化ケアは、老化を止める「特効薬」ではなく、健康を支える日々の習慣のひとつとして取り入れるのがおすすめです。