コラム
2026.10.26
アブクラックス形成とは?腹筋の縦線を作る仕組みや効果を医師が解説
美容医療は『Science & Art』という考え方のもと、「何が最も患者様のためになるか」を常に意識して診療にあたる美容外科医です。心臓血管外科医としての経験から、解剖学的な構造を深く理解したハイレベルな技術を美容医療に活かしています。さらに、一人ひとりの個性を引き出す芸術的なセンスも追求。穏やかで安心感のあるカウンセリングに定評があり、脂肪吸引・豊胸手術、二重施術、エイジング治療を得意としています。科学的根拠と確かな技術で、患者様の理想を実現に導きます。

「お腹に自然な縦線を作りたい」「ダイエットしても腹筋のラインがはっきりしない」と感じたことはありませんか?
腹部の見た目は、脂肪の量だけでなく、筋肉の形や皮膚の状態によっても変わります。こうした腹部の構造を踏まえ、脂肪吸引によってラインを整える施術がアブクラックス形成です。
今回は、アブクラックス形成の仕組みや期待できる効果、メリット・デメリットについて、BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)が解説します。
アブクラックス形成とはどのような施術ですか?
アブクラックス形成は、腹部の脂肪を部分的に吸引し、腹筋の縦ラインを際立たせる美容外科・形成外科施術です。
腹筋の輪郭に沿って脂肪の厚みを調整する「Abdominal Etching(アブドミナル・エッチング)」と呼ばれる手法を応用し、立体的な腹部のラインを目指します。
アブクラックスとはお腹に現れる縦のラインのこと
アブクラックスは、腹筋を意味するABSと溝を意味するCRACKを組み合わせた造語です。一般的には、腹部に縦のラインが浮かび上がった状態を指します。
腹部には、胸の下から恥骨付近まで縦に伸びる「腹直筋」という筋肉が左右に並んでいます。その中央にあるのが、左右の腹直筋をつなぐ「白線(はくせん)」という結合組織です。
腹筋の縦ラインは、こうした筋肉や結合組織の位置関係に加え、皮下脂肪の厚みや皮膚の状態によって見え方が変わります。
そのため、同じようにトレーニングしていても、腹筋のラインがはっきり見える方と、目立ちにくい方がいるのです。
アブクラックス形成はどのように腹筋の縦ラインを作る?
アブクラックス形成は、筋肉そのものを変えるのではなく、腹筋の上にある皮下脂肪を吸引し、その厚みを調整することで縦ラインを際立たせる施術です。
ビアンカクリニックでは、腹部の筋肉や骨格の位置を確認し、次の5つの部位を目印にデザインしています。
- 左右のウエスト:肋骨の下から骨盤の上にかけての、くびれを形成する部分
- 半月線:腹直筋の外側に沿ったライン。腹筋に力を入れた状態で位置を確認する
- 正中線:おへそからみぞおち方向へ伸びる、お腹の中央のライン
- 鼠径三角:足の付け根の上方に位置し、ウエストへつながるラインを形作る部分
- 上胸部三角:肋骨付近にある前鋸筋と外腹斜筋の境界に関わる部分
これらの位置を確認したうえで、皮下脂肪を吸引します。
ここで重要なのは、脂肪を残して盛り上がりを作るのではなく、浅い層の脂肪も調整し、縦ラインを形成する部分を周囲よりさらに薄くすることです。
例えば、お腹の中央に縦線を作る場合、正中線に沿った脂肪を薄くすることで、溝のような陰影が生まれるように調整します。こうした脂肪の厚みの違いを利用し、腹筋の構造に沿った立体感を目指します。
ビアンカクリニックではVASER®を用いて脂肪を吸引
ビアンカクリニックのアブクラックス形成では、超音波を利用した脂肪吸引機器「VASER®(ベイザー)」を使用します。

VASER®は、超音波の振動を利用して脂肪組織を処理し、吸引しやすい状態にする機器です。
アブクラックス形成では、お腹全体の脂肪を減らすだけでなく、腹筋のラインに沿って部分的に脂肪の厚みを調整する必要があります。そのため、脂肪を吸引する層や範囲を見極めることが重要です。
ビアンカクリニックでは、VASER® Lipo認定医が、腹部の解剖学的構造を踏まえて脂肪の吸引範囲や深さを検討します。脂肪の除去量だけでなく、腹筋のラインが自然に見えるよう、全体のバランスを考えたデザインを重視しています。
ただし、VASER®を使用すれば必ず希望するラインになるわけではありません。仕上がりには、もともとの筋肉の形や皮膚の状態、脂肪の分布なども関係します。
アブクラックス形成にはどのような効果が期待できますか?
アブクラックス形成では、腹部の縦ラインを際立たせることに加え、脂肪の分布を調整することで、お腹全体の輪郭を整える効果が期待できます。
ただし、腹筋の形や皮膚の状態には個人差があるため、すべての方に同じ変化が現れるわけではありません。
腹筋の縦線を際立たせ、立体的なお腹を目指す
アブクラックス形成の主な目的は、腹筋の構造に沿った陰影を作り、縦ラインを目立たせること。
お腹に縦線が見えるかどうかは、腹筋の発達だけで決まるものではありません。筋肉の上にある脂肪の厚みも、見た目を左右する要素の1つです。
腹筋の輪郭に合わせて脂肪を調整すると、筋肉自体を変えなくても、腹部に立体感が生まれる可能性があります。
ただし、縦線の深さや見え方を自由に決められるわけではなく、もともとの腹部の構造に合わせたデザインが必要です。
お腹全体の輪郭を整える効果も期待できる
腹筋の縦ラインを際立たせるには、中央部分だけでなく、腹部全体の脂肪のつき方も重要です。

例えば、下腹部やウエスト周囲に皮下脂肪が多い場合、縦線だけを強調しても、周囲のラインとのつながりが不自然に。
そのため、アブクラックス形成では、お腹の中央からウエストにかけてのバランスを考えながら脂肪の吸引範囲を検討します。腹部全体の輪郭を整えることで、縦ラインとウエストがなじんだボディラインを目指せる点も特徴です。
皮膚のたるみがある場合は仕上がりに影響することも
アブクラックス形成では、脂肪を取り除いた後の皮膚の状態も、仕上がりを左右します。皮膚に十分な弾力があれば、脂肪の減少に伴って腹部の輪郭がなじむことが期待できます。
一方、体重の大きな変化や妊娠などによって皮膚の余りが生じている場合には、脂肪を減らしてもたるみが残ってしまうことも。また、皮膚の収縮が不十分な状態で脂肪を除去すると、凹凸が目立つ可能性も否定できません。
腹部のラインを考える際は、脂肪の量だけでなく、皮膚の厚みや弾力、たるみの程度を確認することが重要です。
アブクラックス形成の効果は医学的に確認されていますか?
アブクラックス形成に関連する「Abdominal Etching」については、腹部の輪郭形成や術後の満足度を検討した医学研究が海外で報告されています。
また、ビアンカクリニックでも施術経験をもとに、日本美容外科学会でアブクラックス形成について発表しました。
海外研究では施術後の満足度98%を報告
2019年に医学誌『Plastic and Reconstructive Surgery』に掲載された研究では、Abdominal Etchingを受けた50人の術後経過が検討されました。[1]
この研究では、50人中49人に相当する98%が施術結果に満足したと報告されています。一方、腹部の凹凸が12%、漿液腫(組織の間に液体がたまる状態)が10%、色素沈着が2%に認められました。
研究結果からは、脂肪吸引による腹筋ラインの形成が可能であることが示唆されます。
ただし、対象者が50人と少なく、比較対照群もないため、すべての患者さまに同じ効果が得られるとは限りません。また、まれな重篤な合併症が起こらないことを示すものでもありません。
ビアンカクリニックでは25症例の経験を学会で発表
2024年5月に開催された日本美容外科学会で、腹部脂肪吸引とアブクラックス形成を組み合わせたボディデザインについて発表しました。
対象は、2023年1月〜2024年3月に経験した25症例。いずれもVASER®を使用し、腹筋のラインを意識した脂肪吸引を行っています。
発表では、腹部の解剖学的構造に基づく5ステップのマーキングや、皮下脂肪の厚みを調整して陰影を作るデザインの考え方を紹介しました。
アブクラックス形成では、脂肪をどれだけ除去するかだけでなく、腹部にどのような陰影を作るかが重要です。
ただし、この発表は当院の臨床経験に関する報告であり、施術の有効性や安全性を比較試験で検証したものではありません。
アブクラックス形成のメリット・デメリットは何ですか?
アブクラックス形成のメリットは、腹部の脂肪を減らすだけでなく、筋肉の輪郭を意識したボディデザインができることです。
一方で、脂肪吸引を伴う外科施術であるため、ダウンタイムや合併症のリスクがあります。
メリット|筋肉の輪郭に合わせた腹部のデザインができる
アブクラックス形成では、腹筋の位置に合わせて脂肪の厚みを調整できるため、縦ラインを意識した腹部の形成を目指せます。
また、皮下脂肪を直接除去する施術であることから、トレーニングによる筋肉の発達とは異なる方法で腹部の輪郭にアプローチできる点も特徴です。
デメリット|凹凸や左右差、外科手術に伴うリスクがある
アブクラックス形成は脂肪吸引を伴うため、施術後には腫れや内出血、痛み、拘縮などが生じることがあります。
また、脂肪の吸引量や皮膚の収縮状態によっては、次のようなリスクがあります。
- 腹部の凹凸や左右差
- 皮膚のたるみや色素沈着
- 血腫や漿液腫
- 感染や熱傷
- 傷痕や感覚の変化
こうしたリスクがあるため、施術前には体の状態を確認し、期待できる変化と限界について十分に理解することが大切です。
また、アブクラックス形成は筋肉量を増やす施術ではなく、皮膚のたるみや腹壁のゆるみを直接修復するものでもありません。腹部の状態によっては、脂肪吸引以外の施術も含めた検討が必要です。
アブクラックス形成についてよくある質問
お腹のたるみが気になり、アブクラックス形成を検討している方の質問にお答えします。
Q. アブクラックス形成をすると、本当に腹筋が割れるのですか?
A. アブクラックス形成は、筋肉を発達させて腹筋を割る施術ではありません。
腹部の皮下脂肪を調整することで、腹筋の縦ラインが見えるようにデザインする施術です。そのため、見た目に腹筋の輪郭が現れることはありますが、実際の筋肉量や筋力が増えるわけではありません。
Q. 筋トレをしていなくてもアブクラックス形成は受けられますか?
A. 筋トレをしていない方でも、施術は可能です。
ただし、腹筋の発達具合や皮下脂肪の量、皮膚の弾力によって、形成できるラインは異なります。筋肉の輪郭がもともとはっきりしている方と、筋肉があまり発達していない方では、同じデザインを行っても仕上がりに違いが生じる可能性があります。
Q. アブクラックス形成でシックスパックも作れますか?
A. アブクラックス形成に関連するAbdominal Etchingでは、腹部の縦ラインだけでなく、シックスパックのような輪郭を目指す方法が報告されています。
ビアンカクリニックでも、縦ラインを中心としたデザインや、腹筋の輪郭を強調するデザインを設計可能です。
Q. アブクラックス形成をすれば、運動や食事管理は必要なくなりますか?
A. アブクラックス形成は皮下脂肪を除去する施術ですが、施術後の体重管理が不要になるわけではありません。
体重が増えると、残っている脂肪細胞が大きくなり、腹部のラインの見え方は変化します。また、筋肉量や脂肪量を維持するためには、適度な運動や栄養管理も重要です。
Q. アブクラックス形成はお腹のたるみにも効果がありますか?
A. 皮下脂肪を除去することで腹部の輪郭が整う可能性はありますが、余った皮膚そのものを取り除く施術ではありません。
皮膚のたるみが強い場合や、腹直筋離開など腹壁の状態に問題がある場合には、脂肪吸引だけでは希望する変化を得られないことも。腹部の状態を診察したうえで、適切な施術方法を検討します。
アブクラックス形成で腹筋の縦ラインを目指すならBIANCA CLINICへ
アブクラックス形成は、脂肪吸引によって腹部の皮下脂肪を調整し、腹筋の縦ラインを際立たせる施術です。
大切なのは、脂肪をできるだけ多く取り除くことではありません。筋肉の形や脂肪の分布、皮膚の状態を踏まえて、腹部全体のバランスを考える必要があります。
BIANCA CLINICでは、VASER®を用いたアブクラックス形成に対応。腹部の解剖学的構造を確認しながら、ご希望のラインや体の状態に応じた施術を検討します。
腹筋の縦ラインを目指したい方や、脂肪吸引によるボディデザインに興味がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
参考文献