コラム
2026.10.05
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬の違いは?作用機序や依存性を比較
「世界で通用する日本品質の美容医療」を理念に掲げ、美容外科、美容皮膚科、美容内科、美容婦人科、再生医療、アートメイク、審美歯科、各分野の専門ドクターチームを統括。Creation Labo(クリラボ)代表理事やcutting edge(カッティングエッジ)プロデューサー、日本美容内科学会理事など、クリニック外でもリーダーとして活躍しています。目指すのは満足を超えた感動。美容医療の枠を超えLifestyle Beautyを提案する美容医療界のGame Changerです。

ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬は、どちらも痛みを抑えるために使われる薬ですが、作用する仕組みが異なります。ジャーナバックスは末梢感覚神経のNaV1.8を標的とする非オピオイド鎮痛薬です。
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬は、どちらも痛みを抑えるために使われる薬ですが、作用する仕組みが異なります。ジャーナバックスは末梢感覚神経のNaV1.8を標的とする非オピオイド鎮痛薬です。
「ジャーナバックスはオピオイドではないの?」「依存性はある?」「従来の痛み止めとは何が違う?」と疑問に思う方もいるでしょう。
JOURNAVX™(ジャーナバックス)は、成人の中等度から重度の急性疼痛に対する非オピオイド鎮痛薬として、2025年1月に米国FDAの承認を受けた薬です。[1]
BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)では、美容医療における痛みへの対応を考えるうえで、薬がどこにどのように作用するのかを理解することが大切だと考えています。
この記事では、痛みが伝わる仕組みを踏まえ、ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬の作用機序や依存性、鎮痛効果の考え方を解説します。
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬の違い
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬の大きな違いは、痛みを抑えるために標的とする場所と仕組みです。
| 比較項目 | ジャーナバックス | オピオイド鎮痛薬 |
| 主な標的 | 末梢感覚神経のNaV1.8 | 脳・脊髄などのオピオイド受容体※ |
| 痛みの抑え方 | 末梢から脊髄・脳へ向かう痛みの信号伝達を抑える | 痛みの信号伝達や感じ方を抑える |
| 米国での規制薬物指定 | 指定されていない | モルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドンなどは規制対象 |
| 依存・乱用について | FDA審査では乱用や身体依存を示す懸念は認められていない | 依存、乱用、過量投与などのリスクがある |
※オピオイド受容体は脳・脊髄だけでなく、末梢神経にも存在します。
ジャーナバックスは末梢感覚神経のNaV1.8に働きかけます。一方、オピオイド鎮痛薬は脳・脊髄・末梢に存在するオピオイド受容体に作用します。
「非オピオイドだから必ず安全」「オピオイドより優れている」という意味ではありません。作用機序やリスクが異なるため、痛みの程度や治療内容、患者さまの状態などを踏まえて選択する必要があります。
そもそも痛みはどのように脳へ伝わる?
皮膚や組織への刺激によって生じた情報は、末梢神経から脊髄、さらに脳へ伝わり、脳で「痛み」として認識されます。

このように、ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬は、痛みが伝わる経路に異なる仕組みで働きかけます。
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬は作用機序がどう違う?
ジャーナバックスは末梢感覚神経のNaV1.8を標的とするのに対し、オピオイド鎮痛薬はオピオイド受容体を介して痛みを抑えます。
ジャーナバックスは末梢神経のNaV1.8を阻害する
ジャーナバックスの一般名はスゼトリギン(suzetrigine)で、NaV1.8という電位依存性ナトリウムチャネルを選択的に阻害します。
NaV1.8は、痛みを伝える末梢感覚神経に存在し、神経が電気的な信号を伝える際に重要な「通り道」の1つです。ジャーナバックスはNaV1.8の働きを阻害することで、末梢神経から脊髄、さらに脳へ向かう痛みの信号伝達を抑えます。
ジャーナバックスそのものの特徴については、関連記事「JOURNAVX™(ジャーナバックス)とは?美容医療の疼痛管理で注目される非オピオイド鎮痛薬を解説」で詳しく解説しています。
オピオイドはオピオイド受容体に作用する
オピオイド鎮痛薬は、脳・脊髄・末梢神経などにあるオピオイド受容体に作用します。
脊髄では痛みの情報が脳へ伝わるのを抑え、脳では痛みの感じ方を弱めることで鎮痛作用を示します。また、オピオイド受容体は末梢神経にも存在します。
つまり、ジャーナバックスは末梢神経のNaV1.8という特定のチャネルを標的とするのに対し、オピオイド鎮痛薬はオピオイド受容体を介して痛みの伝達や感じ方を調節する点が大きな違いです。
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬は依存性・乱用リスクがどう違う?
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬では、依存や乱用に関する位置づけにも違いがあります。
ジャーナバックスは米国の規制薬物には指定されていない
FDAの承認審査では、ジャーナバックスについて乱用や身体依存の可能性を示す懸念は認められないと評価され、米国では規制薬物に指定されませんでした。[2]
規制薬物とは、乱用や依存などの可能性を踏まえ、米国で特別な管理の対象とされる薬物です。
ただし、「規制薬物ではない」ことと「副作用やリスクがない」ことは別です。また、米国での承認対象は成人の中等度から重度の急性疼痛であり、長期間使用した場合についてまで依存の可能性がないと一律に判断することはできません。[2]
オピオイドには依存や乱用などのリスクがある
オピオイド鎮痛薬は、中等度から重度の疼痛管理に用いられる薬剤で、手術後や外傷後などの急性疼痛に使用されることがある薬剤です。
一方、処方オピオイドには依存、乱用、過量投与などのリスクがあります。CDC*も、処方オピオイドには依存や過量投与などの重大なリスクがあるとしています。[3]
オピオイドを継続して使用すると、同じ量では効きにくくなる「耐性」がみられることも。身体が薬に慣れた状態で急に中止すると、不安、発汗、吐き気などの離脱症状も懸念されます。さらに、薬の使用を自分でコントロールしにくくなり、必要以上に求める状態へつながることもあります。
「オピオイドだから避けるべき」という単純な考え方ではなく、必要な鎮痛効果とリスクのバランスを考えて使用することが重要です。
*CDC…Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター)。米国の公衆衛生を担う政府機関です。
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬で鎮痛効果に違いはある?
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬の効果を、「どちらのほうが強い」という1つの尺度だけで比較することはできません。
臨床試験ではオピオイド配合鎮痛薬とも比較されている
ジャーナバックスのFDA承認に用いられた第3相臨床試験のうち、有効性を評価した2つの主要試験では、腹部形成術後と外反母趾手術後の急性疼痛を対象に、ジャーナバックス、プラセボ*、ヒドロコドン・アセトアミノフェン配合剤が比較されました。[1][4]
ヒドロコドンはオピオイド鎮痛薬の1つで、アセトアミノフェンと組み合わせた配合剤として使用されます。
ジャーナバックスは主要評価項目でプラセボと比較した鎮痛効果が確認されました。ただし、これらの結果は「ジャーナバックスのほうがオピオイドより強い」「オピオイドを完全に置き換えられる」と判断するものではありません。
その後、美容・再建外科手術を対象としたPhase 4試験では、ジャーナバックスを含む複数の鎮痛方法を組み合わせた疼痛管理も検討されています。99人を対象とした試験では、90.9%が治療期間終了までレスキューのオピオイドを使用しなかったと報告されました。[5]
ただし、この試験はジャーナバックス単独と他の治療法を直接比較したものではありません。そのため、「ジャーナバックスを使えばオピオイドが不要になる」と結論づけることはできません。
*プラセボ…有効成分を含まない薬で、治験薬そのものによる効果を評価するための比較対象です。
鎮痛薬は単純な「強さ」だけでは選ばない
痛みの治療では、痛みの原因や程度、施術・手術内容、既往歴、併用薬などを考慮します。
また、1つの薬だけに頼らず、作用する場所や仕組みが異なる鎮痛薬や麻酔方法を組み合わせて痛みを管理することもあります。例えば、アセトアミノフェンやNSAIDs、局所麻酔などを患者さまや施術内容に応じて組み合わせます。
どの方法を選ぶかは、必要な鎮痛効果とそれぞれのリスクを踏まえて判断することが大切です。
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬はどう使い分ける?
ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬の使い分けは、痛みの程度や原因、施術・手術内容、患者さまの状態などによって異なります。
美容医療では、内服の鎮痛薬だけでなく、表面麻酔、局所麻酔、静脈麻酔など複数の方法を組み合わせて痛みに対応することがあります。海外では、美容・再建外科手術において、ジャーナバックスを術前から使用し、ほかの鎮痛方法と組み合わせる疼痛管理も研究されています。
そのため、ジャーナバックスとオピオイド鎮痛薬のどちらか一方を選べば良いわけではありません。必要な鎮痛の程度や施術内容に応じて選択を検討します。
「ジャーナバックスを使用すれば静脈麻酔が不要」「オピオイドの代わりに必ずジャーナバックスを選べる」と一律に考えないことが大切です。
ビアンカクリニックでは、施術内容や患者さまの状態を確認しながら、必要な疼痛管理を検討します。痛みに不安がある場合は、診察時にご相談ください。
ジャーナバックスを使用するときに知っておきたい注意点
ジャーナバックスは非オピオイド鎮痛薬ですが、副作用や薬物相互作用がない薬ではありません。
米国FDAの添付文書では、比較的多くみられた副作用として、そう痒(かゆみ)、筋けいれん、CK(クレアチンキナーゼ)上昇、発疹が報告されています。また、一部の薬剤との相互作用があり、グレープフルーツを含む飲食物を避けるよう案内されています。[4]
ジャーナバックスは米国では承認されていますが、日本国内では未承認の医薬品です。既往歴や服用している薬などを医師へ伝え、適切な診察のもとで使用を検討する必要があります。
よくある質問

Q. ジャーナバックスはオピオイドですか?
A. いいえ。ジャーナバックスはNaV1.8を標的とする非オピオイド鎮痛薬です。オピオイド受容体を標的とするオピオイド鎮痛薬とは、作用機序が異なります。
Q. ジャーナバックスは麻薬ですか?
A. ジャーナバックスは麻薬ではありません。非オピオイド鎮痛薬で、米国では規制薬物に指定されていません。モルヒネやオキシコドンなどのオピオイド鎮痛薬とは、作用する仕組みや規制上の位置づけが異なります。
Q. ジャーナバックスに依存性はありますか?
A. FDAの承認審査では、ジャーナバックスについて乱用や身体依存を示す懸念は認められませんでした。[2] ただし、あらゆる使用方法で依存の可能性がないと断定できるものではありません。
Q. ジャーナバックスと静脈麻酔はどう違いますか?
A. ジャーナバックスは痛みの信号伝達を抑える経口の鎮痛薬で、眠った状態にすることを主な目的とする薬ではありません。
一方、静脈麻酔は静脈から麻酔薬や鎮静薬などを投与し、意識レベルを調整する麻酔方法です。両者は単純な代替関係ではなく、必要な鎮静・鎮痛の程度に応じて検討します。
Q. ジャーナバックスはNSAIDsですか?
A. ジャーナバックスはNSAIDsではありません。NSAIDsが主にCOXを阻害して炎症や痛みに関与する物質の産生を抑えるのに対し、ジャーナバックスはNaV1.8を標的とするため、作用機序が異なります。
ジャーナバックスとオピオイドは痛みを抑える仕組みが異なる
ジャーナバックスは末梢感覚神経のNaV1.8を選択的に阻害し、痛みの信号伝達を抑える非オピオイド鎮痛薬です。一方、オピオイド鎮痛薬はオピオイド受容体に作用し、痛みの伝達や感じ方を調節します。
FDAの審査では、ジャーナバックスに乱用や身体依存を示す懸念は認められず、米国では規制薬物に指定されていません。ただし、非オピオイドであることが副作用やリスクがないことを意味するわけではありません。
美容医療における疼痛管理は、施術内容や患者さまの状態によって異なります。BIANCA CLINIC(ビアンカクリニック)では、痛みへの不安も含めて事前に相談いただけます。
施術時・施術後の痛みについて気になることがあれば、カウンセリングで医師にご相談ください。
参考文献
[1] U.S. Food and Drug Administration「Drug Trials Snapshots: JOURNAVX」
[2] U.S. Food and Drug Administration「Integrated Review:JOURNAVX(suzetrigine)」
[3] Centers for Disease Control and Prevention「About Prescription Opioids」
[4] U.S. Food and Drug Administration「JOURNAVX Prescribing Information」
【使用する医薬品】JOURNAVX™(ジャーナバックス)内服
【費用】9,900円/1錠
【リスク・副作用等】かゆみ、筋けいれん、CK(クレアチンキナーゼ)上昇、発疹などが生じる場合があります。また、一部の薬剤との相互作用があり、強いCYP3A阻害薬との併用は禁忌です。服用中はグレープフルーツを含む飲食物を避ける必要があります。重重度の肝機能障害がある方は、使用を避ける必要があります。
【未承認医薬品に関する注意事項について】
・本施術に使用するJOURNAVX™(一般名:スゼトリギン)は、日本国内では薬事承認を受けていない未承認医薬品です。
・米国では2025年1月、成人の中等度から重度の急性疼痛に対する非オピオイド鎮痛薬としてFDAの承認を受けています。
・本施術に用いる医薬品は、医師の判断のもと、個人輸入手続きが行われています。詳細は厚生労働省の「個人輸入における注意すべき医薬品等に関する情報」をご確認ください。
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/purchase/index.html
・日本国内には、同一成分・同一適応の承認医薬品はありません。
・日本国内では未承認のため、国内で十分な安全性・有効性が確認されていない可能性があります。
・万が一重篤な副作用が生じた場合は、国の救済制度(医薬品副作用被害救済制度)の対象外となる場合があります。