エピジェネティッククロック検査の歴史とは?ビアンカの美容内科医 前田陽子が解説!
老化のメカニズムが解明されつつあるなどの医学の進歩を踏まえて、健康的に長生きして人生を楽しむロンジェビティ(Longevity)という考え方が注目されはじめています。今回は、ロンジェビティ(Longevity)に向けた指標の1つとなるエピジェネティッククロック検査の歴史をご紹介します。
エピジェネティッククロック検査とは
エピジェネティッククロック検査とは、生物学的年齢の測定方法です。暦年齢が同じでも、若く見える方と老けているように見える方がいるのは、老化の進み具合の違いが原因。人間の老化するスピードは個人差が大きく、暦年齢とは比例しません。
そこで、老化の進み方を示す指標として用いられるのが生物学的年齢です。エピジェネティッククロックによって測定される生物学的年齢は、見た目の老化と関連があることも明らかになっています。
生物学的年齢を測定する方法にはいくつかの種類がありますが、エピジェネティッククロック検査は現時点で最も信頼できる指標とされています。現在の形になるまで、さまざまな研究者により開発が進められてきたエピジェネティッククロック検査。今回はエピジェネティッククロック検査の歴史をご紹介します。
エピジェネティッククロック検査はダイエットでいう体重計のようなもの!
エピジェネティッククロック検査は、ダイエットでいう体重計のようなものととらえるとわかりやすいでしょう。体重計でダイエット前後の体重を測定しなければ、ダイエットの効果を実証できませんよね。
エイジングケアもそれと同じ。良いといわれているエイジングケアには食事療法やサプリメントなどさまざまな方法がありますが、これまで本当に効果があるのかどうかは、長生きするかどうかでしか実証できませんでした。
生物学的年齢を正確に把握できるようになったことで、暦年齢の差を比較して老化の進行度合いを把握するだけでなく、エイジングケア治療の効果の検証もできるようになったのです。
アンチエイジング医学では老化は病ととらえており、生物学的年齢の若返りを目指すアプローチも可能。生物学的年齢が〇歳から〇歳に若返ったと示すことで治療の効果を客観的に把握できます。このように、エピジェネティッククロック検査の進化は重要な意味を持つのです。
エピジェネティッククロック検査の歴史
これまで研究されてきた代表的なエピジェネティッククロック検査には、以下のようなものが挙げられます。
<代表的なエピジェネティッククロック検査の歴史>
2013年|ホーバースクロック
2018年|PhenoAge
2019年|GrimAge
2020年|ダニーデンスタディ
2023年|OMICmAge
2024年|SymphonyAge
それぞれの特徴をご紹介します。
初代エピジェネティッククロック検査「ホーバースクロック」
最初に世の中にエピジェネティッククロック検査が登場したのは、2013年のこと。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のホーバース先生が発明したエピジェネティッククロック検査、通称「ホーバースクロック」です。
「ホーバースクロック」では、遺伝子の353ヶ所の部位をメチル化測定し、生物学的年齢を測定。機械学習のアプローチで年齢により変化するメチル化のパターンを測定する仕組みでした。
第2世代はバイオメーカーを組み合わせた「PhenoAge」 や「GrimAge」
続いて登場した第二世代が2018年に登場した「PhenoAge」と2019年に登場した「GrimAge」です。これは、「ホーバースクロック」にほかの検査によるバイオマーカーを組み合わせた検査です。
バイオメーカーとは、体の生物学的な変化を示す指標のこと。病気の状態や変化を示したり、治療の効果を予測したりするときに用いられるもの。より精度の高いエピジェネティッククロック検査を目指して開発されました。
第3世代は大がかりな研究をもとにした「ダニーデンスタディ」
そして2020年に第3世代となるエピジェネティッククロック検査が開発されました。ニュージーランドのダニーデン市で行われたコホート研究を元にしていることから、「ダニーデンスタディ」と呼ばれています。
コホート研究は、1972年に生まれた1,000人以上を40年にわたり調査し、精神衛生障害と併存疾患を縦断的に評価するというもの。1995年から2005年まで2年ごとに追跡調査した、かなり大がかりな研究となっています。
12年間の追跡調査をベースに各バイオメーカーの変化率を測定し、エピジェネティッククロックにしたものが「Dunedin PoAm」、さらに長い20年間の追跡調査をベースにしたものが「Dunedin PACE」です。実際にヒトを使った研究データでさらにデータ数も多いとあり、信頼性の高いエピジェネティッククロック検査となっています
エピジェネティッククロック検査の有効性が判明した研究の内容は
現在アンチエイジング医学においてもっともエビデンスのある若返りの方法は、食事制限(カロリー制限)です。過去のエピジェネティッククロック検査の有効性の把握につながった、200人以上を対象としたカロリー制限の研究があります。
研究の内容は、200人以上を対象に、「ホーバースクロック」、「PhenoAge」、「Dunedin PACE」など、さまざまなエピジェネティッククロックのカロリー制限による生物学的年齢の変化をチェックするというもの。その結果はというと、唯一「Dunedin PACE」のみが有意差をもってその若返り効果を反映することができたというやや衝撃的なものでした。つまり、ほかの種類のエピジェネティッククロック検査では、アンチエイジング治療の効果を反映することができなかったのです。
どのようなアンチエイジング治療があなたに合っているかを反映する指針となる体重計が壊れているというようなイメージですね。もちろん壊れているというのは言い過ぎかもしれませんが、治療の効果を反映できない検査を行っても意味があまりないと思うのは、私だけではないでしょう。
この研究の影響により、エピジェネティッククロック検査の開発は「Dunedin PACE」をベースとして行われるようになりました。
その後も年々進化を続けるエピジェネティッククロック検査
「Dunedin PACE」のあとにも、エピジェネティッククロック検査は進化を続けています。
2023年にはエピジェネティクスだけでなくRNAやタンパク質の発現、老化の表現型を反映することができる「OMICmAge」が登場。各臓器の生物学的年齢、つまり肺年齢や脳年齢、腎臓年齢などを評価できる「SymphonyAge」は、2024年に実際に測定できるまでになったと報告されています。
このようにエピジェネティッククロック検査の進化はとても早く、とどまるところを知りません。
エピジェネティッククロック検査ならビアンカクリニックへ!
「生物学的年齢を測定したいけどどこで検査できる?」という方は、ぜひビアンカクリニックにご相談ください。ビアンカクリニックは健康的に長生きするロンジェビティ(Longevity)に注目し、日本でエピジェネティッククロック検査を行っている数少ないクリニックの1つ。生物学的年齢がわかるのはもちろん、身体機能の健康状態、疾病リスク、予防方法などを提示し、体の内側から生物学的年齢の若返りを図る医学的なアプローチを検討します。おすすめの食べ物やスポーツ、筋トレ方法など、なんでも気軽にご相談ください。
自分の生物学的年齢や老化の度合いが知りたいみなさまには、信頼のおけるエピジェネティッククロック検査を選んで、正確な検査結果を確認してほしいと思っています。決して安い検査ではないため、意味のない検査にはしたくないですよね。
ビアンカクリニックでは、常に最新のエピジェネティッククロック検査を行うことができますので、安心してご活用ください。
▷エピジェネティッククロック検査(生物学的年齢検査)の内容や料金はこちら
ビアンカクリニック美容内科指導医
前田陽子医師プロフィール
https://biancaclinic.jp/doctor/maeda/
沖縄県立南部医療センター・こども医療センターで初期研修、京都府立医科大学放射線科、美容クリニックでの勤務を経て点滴療法研究会のセミナーで高濃度ビタミンC点滴療法と出会い、アメリカリオルダンクリニック リサーチフェローとして留学。米国抗加齢医学会の専門医試験に最年少で合格するなどの実績を持つ。
現在はBIANCA CLINIC (ビアンカクリニック)に美容内科指導医として在籍。美容内科指導医の役割は、体の内側を整える方法を提案して健康的な美しさにアプローチすること。女性の更年期障害はもちろん、男性更年期障害、疲労回復、FAGA(女性の薄毛)、ED(勃起障害)、筋肉増強など、さまざまな体の不調や悩みにも対応。体の内側から老化を治療するエイジングケアのプロフェッショナルとして、再生医療や先進医療を用いた診療方法の中から患者様に合わせた治療を提案。体質を改善し生物学的年齢の若返りを目指すアプローチで、単に寿命を延ばすのではなく健康的に長生きするロンジェビティ(Longevity)に向けたサポートを行う。
<美容内科の診療内容>
◆男性更年
◆FAGA
◆生物学的年齢(エピジェネティッククロック・生物学的年齢検査)
◆筋肉増強
◆ペプチド療法
◆ホルモン補充療法(HRT)
◆オーソレモキュラー栄養療法
◆水素療法
◆NMN点滴療法
◆エクソソーム注射
◆浄化濃縮幹細胞培養上清液点滴
◆高濃度ビタミンC点滴
◆プラセンタ注射 など
<所属学会・資格等>
◆日本美容内科学会理事
◆米国抗加齢医学会(A4M)専門医
◆A4Mアンチエイジング・代謝・機能性医学フェローシップ
◆米国先端医療学会キレーション専門医
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